内容説明
算盤侍唐木市兵衛を、北町同心の渋井鬼三次が手下とともに訪ねてきた。岡場所を巡る諍いを仲裁してくれという。見世に出向いた市兵衛の交渉はこじれ、用心棒の藪下三十郎と刃を交えるが、互いの剣に魅かれたふたりは親交を深めていく。三十郎は愚直に家族を守る男だった。だが、愚直ゆえに過去の罪を一人で背負い込んでいる姿を、市兵衛は心配し…。
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務を経て執筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
136
風の市兵衛「うつけ者の値打ち」17巻。今回も市兵衛さんの風の剣はサラットのような、もう少し迫力ある場面がほしいですね、三十郎さんとお津奈さん一緒に小料理屋をやらせてあげたかったかな、市兵衛さん少し行動が遅かったですね。2016/06/21
はにこ
29
風の市兵衛シリーズの中で一番悲しい話に思えた。何もかも失い、裏切られた男が家族というたった1つの大切なものを守る為に命をはって市兵衛に用心としての依頼をする。三十郎はうつけだったけど、その三十郎を心底愛したお津奈の心の美しいこと!今回は市兵衛の剣さばきは控えめで、用人としての計算が光っていた。2021/01/24
み
28
久しぶりの市兵衛さん、カッケー(^o^)鬼役さんと悪を退治って点では同じだが、こちらに爽やかさを感じてしまった…、ヒトは斬られているのに(>_<)次作は、算術メインがいいな。2017/04/05
お涼
25
シリーズ15作目。今回は剣を交えて意気投合した用心棒からの頼まれごと。雇われた形にしているけれど、友人との約束事を果たしただけと思っているような市兵衛が格好いいい。長屋のおかみさんたちの「お侍は何も稼いじゃいない。稼いでいるのは百姓やら漁師やら商人やらなんだから」って。今の世の中も同じ。【図書館本】2020/01/26
ひさか
24
2016年4月祥伝社文庫刊。書下ろし。シリーズ17作目。妻と子を守ろうとする浪人の頼みに意気を感じた市兵衛が仕事を請負う。不正に対する都合の良すぎる解決が、少し気になるが、ひとまずの決着であるのは納得できる。市兵衛としては、難しい局面だったのかも。2018/07/23