内容説明
多忙を極める南町奉行所は、増え続ける未解決事件に対処するため、元定町廻りの二ッ森伝次郎に再出仕を要請した。御年六十八歳のこの男、隠居暮らしは御免と市中の揉め事に首を突っ込む毎日だ。伝次郎は早速、一癖も二癖もある往年の腕利き連中を集める。そして、ついた仇名が“戻り舟”だった。そんな折、九年前、商家の娘殺しを疑われた男の探索を依頼され…。
著者等紹介
長谷川卓[ハセガワタク]
1949年、小田原市生まれ。早稲田大学大学院演劇専攻修士課程修了。80年、群像新人文学賞を受賞。81年「百舌が啼いてから」が芥川賞候補となる。2000年には『血路―南稜七ツ家秘録』で角川春樹小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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baba
27
読メさん感想で手に取る。何だかワクワクする。二つ森伝次郎をはじめ、再出仕した面々が思うようにいったり、いかなかったり。冴えを見せたかと思えば息切れしたりと面白く次が楽しみ。ケイプさん有難う。2016/06/24
Kira
19
電子。何度目かの再読。これもまた読み始めると面白くて、どんどんページをめくってしまう。隠居した元同心二ツ森伝次郎が再出仕して、未解決事件を追う捕物帳。台詞が面白すぎて、読むのがほんとに楽しい。2025/04/10
ケイプ
19
家督を息子に譲り隠居生活を始めたものの、相談を持ち込まれるとその解決に精力的に駆け巡っていた元同心、二つ森伝次郎。「戻り舟同心」とはそんな伝次郎の呼び名。未解決の事件を洗い直すために伝次郎は再び出仕する。捕物としてもおもしろく読めたけれど、それ以上に伝次郎のちょっとお茶目なところやわがままなところがまた味があっていいです。2016/04/21
アーちゃん
18
図書館本。お初の著者、読友さんお薦めで読みました。剣戟シーンでやや残酷な描写がありますが、それを上回る登場人物の面白さ。毒舌頑固爺さんの伝次郎に、なぜかフロスト警部を思い出しました。現在4冊刊行されているようです。次巻も読みたい。読友さんに感謝です。2017/06/07
jima
17
3話収録。「隠居しているが、まだ矍鑠としている方々で臨時の再出仕組を設けて、永尋(ながたずね)となっている事件を洗い直させる」永尋とは迷宮入りのこと。そのメンバーが少しずつ増えて、迷宮入りだった事件を解決に。「一度流れていっちまった奴が、また戻ってきたので、戻り船」2021/09/04