内容説明
太物店『山形屋』の主は、店に置き忘れられた三十両の持主探しに嫌気がさしていた。貼紙をしても現われるのは偽者ばかり。ついに本人かと安堵するも、受け取りに来たのは代理の男だった。それでも主は男を信用するが、話を聞いた青柳剣一郎はあまりの大金と都合のよい話に不審を抱く。しかし、男はすでに行方をくらましていた。同じ頃、掬摸の死体が発見され…。
著者等紹介
小杉健治[コスギケンジ]
1947年、東京生まれ。83年「原島弁護士の処置」で、オール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。87年『絆』で日本推理作家協会賞を、90年『土俵を走る殺意』で吉川英治文学新人賞を受賞する。以降、社会派推理、時代小説の旗手として絶大な人気を誇る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
114
風烈廻り与力・青柳剣一郎「美の翳」33巻。山形屋の店に忘れたお金から始まった事件、美しい事と醜い事の人間の表裏を見せつけられました、自分にもドキ(*_*;「くわばらくわばら」。2016/01/13
いつでも母さん
84
今作は又、巧い作りでしたね~!こっちの糸と、あっちの糸が絡んでいるのを上手に解くよね~!青痣与力に捕まったら本望と言う、下手人・島造の潔さ(とは、言わないか?)に、美濃屋・金子屋も然り、山形屋の主と甥・・皆が皆『お互いを思いやる心の美しさ』これに尽きましたね。さて、読了した私はどうなの?自問自答すると冷や汗ものです。今、自分に日本人に問われているのですね~あなたと私の『美しさ』に翳りは無いのかい?と。参りましたね(汗)2015/12/16
夢子
20
人の心や行動の醜さに自分を重ねて悩む山形屋の主人も、自分の過ちに気づく。青柳剣一郎がまたまた、人情味のある解決に導いていた。今の世の中にはないかなぁーと思う2024/11/28
ベルるるる
17
妻の多恵の話に耳を傾けて、対処しようとする剣一郎がいい。2017/01/22
Western
5
人の心の醜さ、美しさをテーマにして本編は始まり終わっていった。 「美の翳」表題通りで人を殺めた犯人も美しい心を持ち、欲に走りそうになった山形屋主人も心が揺れ動く様子がよく分かった。 そんな中欲得のない与力青柳剣一郎が事件を解決し、情けのあるお裁きを見せる。 自戒の内容ともなっている 2022/05/31
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