内容説明
「まさか、市蔵が」忽然と姿を消した岩倉源太夫の次男市蔵。源太夫が上意討ちした男の息子だった。すべてを覚悟の上で引き取り育てていたのだ。しかし、何者かが、その真相を告げてしまう。尊敬する父が、実の親を殺した敵…。失踪直前、明るかった市蔵は塞ぎがちになっていた。そして父として源太夫がとった行動は―。人の成長と絆を精緻に描く、傑作時代小説。
著者等紹介
野口卓[ノグチタク]
1944年徳島市生まれ。立命館大学文学部地理学科中退。さまざまな職業を経験し、ラジオ・ドラマ脚本・戯曲を執筆。1993年一人芝居「風の民」で第三回菊池寛ドラマ賞を受賞。2011年に『軍鶏侍』で時代小説デビューを果たし、同作で歴史時代作家クラブ新人賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤枝梅安
53
「軍鶏侍」シリーズ4作目。4編の短編は源太夫の周囲の人々の苦悩を源太夫が自分のこととして捉え、対処しようとする物語。老いた師を囲む弟子たちのそれぞれの人生を照らした「道教え」。さほど親しくなかった男が弟子と下男を伴って突然現れ、幕藩体制の奥の地方小藩の必死の生き残りを冷徹に描く「語る男」。利用され翻弄されてきたことに気付いた若者の再起を期待する「口に含んだ山桃は」。そして源太夫の次男・市蔵が自らの出生や生育の裏に隠された秘密を知ってしまう「水を出る」。この作者の温かい視線が人々の弱さをやさしく包む。2014/01/27
ベルるるる
34
読み終わってみると、このタイトルが本当にいいタイトルだと思える・・・。2018/09/27
onasu
30
久しぶりの園瀬の里には、大きな動きはなく、期待した通りの読み心地。そうそう政変や対峙があるもんじゃない。ですが、読み手は強欲で…。 そう言いつつ、表題作「水を出る」に辿り着くと、軍鶏はこうじゃなくっちゃ、て。読まにゃあ、てお題ですが、養子とした市蔵が経緯を知り悩むも、久々に下男/権助が少年の成長に一役買う。他もそうだが、手を差し延べてくれる人がいる、その軍鶏らしさがいい。源太夫にも出張ってもらわんと、てのもあるけど。 浪速から海路、峠越えをした先の園瀬の里。四国かなあ、てのも含めて続編が待ち遠しい。2014/02/22
タツ フカガワ
18
シリーズ4作目。表題の「水を出る」は、ヤゴが水から出てトンボになるの意。本編では源太夫の養子の息子市蔵(9歳)が懊悩しながら成長していく様子を描いた一編で、最後は下男の権助同様涙ぼろぼろとなりました。2019/04/02
ひっと
18
「水を出る」という標題の意味に重さがありました。ヤゴからトンボへの変態を人間の成長に喩えていたものなのですね。こうしてみると実に味わい深い表紙です。〝水を出た”市蔵の行動がとても健気です。その市蔵を見守る源太夫夫婦の覚悟と権助の優しさにもまた大きな魅力を感じました。他の3作品もそれぞれ良かったです。後味もよくて,安心して読める本です。このシリーズの表紙の絵はどれも好きです。どんな人が描いているのか気になるのです。2015/05/24
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