内容説明
隠居した深川の茂平は大工の元棟梁。いつの頃からか「ほら吹き茂平」と呼ばれるようになった。別に人を騙そうとは思っていない。ただ、いろんな癖の人をみて、ついつい言ったお愛想が思わぬ騒動を起こすのだ。その日も、一向に嫁ぐ気のない娘の相談に来た母親に、悪戯心が頭をもたげて…。江戸の市井にあふれる笑顔や涙を温かく描く豊穣の人情小説集。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
北海道函館生まれ。1995年、「幻の声」で第七十五回オール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年に『深川恋物語』で第二十一回吉川英治文学新人賞、翌01年には『余寒の雪』で第七回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
246
宇江佐さん十八番、江戸の市井短編集。どれもあったかい作品だが、ラストの『律儀な男』あたりが特に響いた。女たちの幕末を描いた『金棒引き』、これは宇江佐さんには珍しい作風、晩年にして、新しい魅力も発見させていただきました。2017/01/27
shizuka
65
疲れた時のビタミン本。じっくりゆっくり読む。表題『ほら吹き茂平』、邪心なくほらを吹いて、相手をびっくりさせてしまう茂平。いろいろ世知辛い世の中、笑えた方がいいじゃんという気持ちが「ほら」を作ってしまう。私も笑って過ごせた方がいいと思うけれど、時々そういう「空気」じゃないときもある。で白い目で見られる茂平。気持ちは分かる。『せっかち丹治』本書で一番気に入った。とにかくせっかちな男、丹治。食事もさささーと食べたいとぬるめでかき込む。男気に厚く、彼の道理はぐっとさせる。長屋全部を新築に引っ越しさせる手腕。見事!2017/01/26
ぶんこ
60
茂平さんは1編だけでした。 もっと読みたかったです。 浮風さんが2編。 こちらも、もっと読みたかったです。 百鬼丸さんの解説で、宇江佐さんは作品を台所のテーブルで書かれ、出版社のパーティーも2次会には参加されないとありました。 地道な生き様が作品に現れていたのだと知りました。 つくづくお亡くなりになられたのが残念です。2015/11/25
優希
53
面白かったです。江戸の人情が伝わってきました。短編集でしたが、この続きを読みたいと思わせる作品ばかりです。2022/03/09
tengen
52
今月の1冊目、在宅で通勤が無いと案外読めない。時間の無駄と言いながら如何に通勤時間が大事な読書タイムであったことか。☆ほらを明るい話題と信じる茂平☆夫の供養に尼のような暮らしをする浮風☆噂好きのおこう、公武合体の犠牲となった和宮に思いをはせる☆裏長屋暮らしから抜け出したいおきよに大店から嫁入りの話が舞い込むのだが☆霊を見ることのできる浮風の元に供養の相談が持ち込まれる☆婿入りした市兵衛は妻と姑が亡くなり長年の苦労から解放された☆彡ほら吹き茂平/千寿庵つれづれ/金棒引き/せっかち丹治/妻恋村から/律儀な男2020/05/21
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