内容説明
文具メーカーで働く由紀江は耕次と付き合って半年。気分屋の彼は機嫌が悪くなると手がつけられない。耕次の怒りを理不尽に思いながらも言い返せない由紀江。次第に彼の態度はエスカレートしていき…(「今日の占い」より)。とある女優の成長を軸に、様々な時代を生きる人々の心のささくれを丁寧に描いた六編。最後に新鮮な驚きと爽やかな感動が待っている、連作小説の傑作。
著者等紹介
飛鳥井千砂[アスカイチサ]
1979年生まれ。愛知県出身。2005年『はるがいったら』で第18回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。11年に上梓した『タイニー・タイニー・ハッピー』がベストセラーとなり注目を集めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
149
『「新CMキャラクターは、あの、ゆうちゃんに決定!」というコピーが、トップ画面に躍っている』。『1996年7月』から約13年にわたる六つの時代を描いていくこの作品。そこには、思い通りにはいかない現実に向き合いながら日々を生きる六人の主人公たちそれぞれの姿が描かれていました。時代表現が90年代の空気感を上手く伝えてくれるこの作品。『天才子役と騒がれていた』『ゆうちゃん』の成長を物語の背景に見るこの作品。さまざまに描かれていく登場人物たちそれぞれの思いの中に、人が戸惑う瞬間の心の機微を見た、そんな作品でした。2024/01/18
いこ
103
謎の女優「ゆうちゃん」の成長と共に進む連作6編。好きみたいなそうでもないみたいな青春の高校生。引きこもりの大学生。妻が仕事を始めたことから、すれ違っていく夫婦。好きみたいな違うみたいな30代の男女。怖い怖い怖い嫌だ嫌だ嫌だの女性。「奥さんが僕の倍以上稼いでる」夫婦。こんな人達が主人公。第1話では子役だったゆうちゃんが結婚し、主人公達の時間も進んでいく。それぞれが皆悩んでいる。迷っている。同情してしまう話もあった。しかし、各話のラストは、必ずいい方向を向いていた。そして、最終話にはとびきりのラストが待つ。2023/11/26
☆ゆう☆
98
とある女優の成長を軸に人と人との繋がりを描いていく連作短編集。夫や彼に縛られたくない、自立したいと願う女性と、家庭を大事にして欲しい、自分だけの彼女や妻でいて欲しいと願う男性のそれぞれの価値観に引っかかりを覚えた。どちらが良い悪いということは決してないが、この作品に限っては本当にどっちもどっち。人間生きていれば誰かに影響を与える。ましてや深い関係である相手にならなおさら。互いに尊重し合う、歩み寄れる関係が理想的だがなかなか難しい。ならば最低限、相手を思いやる気持ちだけはおざなりにしてはいけないなと思った。2015/02/06
hnzwd
87
タニハピもそうでしたが、恋愛関係にある男女のやり取りを描くのが抜群に上手い。6篇のいずれの登場人物達はみんな別々の悩みを抱えているのに、それらが全部ありそうな話と思える、ってのはなかなか無い。ラストの話ではちょっとした驚きも用意してくれていてお得な一冊でした。2015/04/22
takaC
72
面白かった。5話目の耕次が気持ち悪い。ひとまず飛鳥井作品はコンプしたみたい。2013/04/09