内容説明
「厭だ。厭だ。厭だ―」同期深谷の呪詛のような繰り言。パワハラ部長亀井に対する愚痴を聞かされ、うんざりして帰宅した“私”を出迎えたのは、見知らぬ子供だった。巨大な顔。山羊のような瞳。左右に離れた眼。見るからに不気味な子供がなぜ?しかし、妻は自分たち以外に家には誰もいないと言う。幻覚か?だが、それが悪夢の日々の始まりだった。一読、後悔必至の怪作。
著者等紹介
京極夏彦[キョウゴクナツヒコ]
1963年生まれ。小説家、意匠家。94年『姑獲鳥の夏』でデビュー。日本推理作家協会賞、泉鏡花賞、山本周五郎賞に続き、2004年『後巷説百物語』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
140
本当に厭な小説が7つ収められています。よくこのような小説を思い付いたという気がします。途中でやめようと思いながらも最後まで怖いもの見たさと同じで読んでしまいました。なんかにおいなども漂ってくるような気がします。やはり京極さんはすごい小説家だという気がします。最近はこのような分野に衣替えですかね。2015/12/23
優希
116
まさに厭な物語のオンパレードでした。「嫌」ではなく「厭」なのは、おさめられた短編が精神的に応えるからだと思います。この世界に浸っていると厭だとしか言えなくなりますね。それでも読み進めてしまうのは著者のリータビリティがあるからでしょう。でもやはり読み終えると「厭な小説」だったとの言葉がついて出ます。2017/05/11
はらぺこ
76
1話目の『厭な子供』は他のに比べて気味が悪いので厭っていうより怖かった。『厭な老人』は結局どうなってんのか分からんかったし、最終話を読んで余計に分からんようになった。『厭な先祖』も当然厭な話やけど想像すると何か笑けた。1つずつ書く積もりやったのに内容とかオチを思い出してたらしんどくなってきた・・・。あぁ、もう残りの感想は書くのが厭になった。 『厭な解説』で挙げられてる厭な作品も読んでみたくなった。厭なん分かってんのに何故か読みたい気分になるのはなんでやろ?2013/05/21
♡ぷらだ♡お休み中😌🌃💤
63
読み友さんに教えてもらった1冊。本書は、ひたすら厭な話がつまった7つの短編集。厭だ、厭だと思いながらページを捲る。厭だけれど捲らずにはいられない。分厚い本なのに、1編また1編と読み終わっていく。厭なのに、不思議とサクサクと読めてしまう。気づいたら京極ワールドに引き込まれていた。だんだんとバラバラにみえた短編が繋がり、こんなラストが用意されているなんて、厭になるくらい面白かった。2021/08/23
ごみごみ
60
厭だ。巨大な頭に左右離れた眼を持つ不気味な子供。ボケたフリして意思も知性も持っている異常な老人。不快な思い出が反芻するあのホテルの扉。仏壇にぎっしり詰まってじっと見ている先祖。顔も見たくない、未練もない、なのに別れられない彼女。済んだはずの出来事が繰り返される家。不条理な、非常識な、不見識なことばかり書かれている小説。厭なのに、終わらない。抜け出せない。あぁ厭だ厭だ厭だ厭だ厭だーー!2021/10/13