出版社内容情報
「まさに時代が求めたヒーロー」と文芸評論家・末國善己氏も絶賛! 息子を奪われた老侍とともに、市兵衛が戦いを挑むのは!?
【著者紹介】
一九四八年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社に勤務。その後退職して本格的に執筆業に入る。迫真の剣戟と江戸情緒溢れる人の絆を描く作風には定評がある。中でも二〇一〇年に刊行された『風の市兵衛』(祥伝社文庫)が脚光を浴び、シリーズの続編『雷神』『帰り船』『月夜行』も大絶賛される。本作は待望のシリーズ第五作である。
内容説明
高砂が流れる北相馬藩江戸藩邸で、勘定人・中江作之助が斬殺された。算盤侍“風の市兵衛”は、病死と報された息子の死に疑念を抱き、出府してきた老侍・中江半十郎と知り合う。やがて遺品の勘定書を託された市兵衛は、それが藩を壟断する一派の悪行が記された物と気づく…。かつて“相馬の鷹”と呼ばれた老父とともに、市兵衛は卑劣な罠が待つ藩邸へと向かう。長編時代小説書下ろし。
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社に勤務。その後退職して本格的に執筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫綺
49
シリーズ第5弾。今回は不法な手形乱発に染まる、北相馬藩のお家騒動。倅を消された"相馬の鷹"老侍と孫娘を守るべく、市兵衛の正義の烈風が吹き荒れる。2024/02/11
はにこ
46
江戸での息子の死を不審に思う老侍、半十郎。孫の節と江戸に出てきて真相を探ろうとする。息子から託された勘定書を読み解く為に市兵衛を雇う。という話。大名の勘定システムが私には複雑すぎてあまり理解出来なかった。息子の無念を晴らすにはこの方法しかなかったのか?とも思ったけど、こうでないと市兵衛の本当の腕の見せ所がないから仕方ないか。市兵衛も格好良かったが、鷹と呼ばれた老侍が格好良かった!2020/08/18
万葉語り
44
シリーズ5作目。北相馬藩の江戸屋敷で人知れず殺された勘定方侍の老父が江戸に出てきて真相を探るお手伝いをするのが今回の市兵衛さん。必要なところに予算をつけず、不透明で歯切れの悪い国家経営で国債をやみくもに増やしていくどこかの国への皮肉なんじゃないかと思った。最後の決戦がもはや人ばなれしてきた市兵衛さん。お兄さんも弥陀ノ介も鬼渋もいい味出していた。2018-1812018/09/30
のびすけ
34
安定した面白さ!前作では市兵衛の算盤の見せ場がなかったが、本作では市兵衛の算盤で帳簿に隠された手形取引きの実態や貨幣の両替詐欺を鮮やかに暴く。この時代にこんな複雑な金融の仕組みがあったことに驚く。中江半十郎の孫娘・節が微笑ましい。ドラマではマドンナ的な役どころで山本美月が演じてたけど、原作では幼い童女。節と弥陀ノ介が綾取りで遊ぶシーン、強面の弥陀ノ介が太い指で器用に綾取りをしてる姿が可笑しい。最後、中村家屋敷での大立ち回りは圧巻!作之助の無念を晴らし、半十郎と節が無事に国に帰ることができて良かったー。2020/04/07
み
30
今回は算術も剣もバリバリ^^;こんな殿様ひどすぎるお話しでした。あの宿敵は登場せず、次は?2015/10/27