出版社内容情報
すべては、あの20年前の夜に起因している・・・。
死の直前、伯父が遺したものは何を語っているのか?
1974年秋、群馬県の寒村を襲った連続殺人事件は、いったい何者の仕業だったのか? ミステリーが今、ルポルタージュの迫真を超える! 第9回大藪春彦賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
181
5年以上前にハードボイルド&ロマン『神山健介シリーズ』や実録風の『下山事件・最後の証言』でハマった柴田さんを久しぶりに読んだが、様々な要素をテンコ盛りにした娯楽作で印象が変わった…26年前に山村で起こった連続殺人は人間業とは思えない惨状で、地元では天狗の仕業と噂されたが、今になって真相の一端が見えてくる。当時は新人だった記者の過去と現在の二重構成で、伝奇や復讐劇、米軍の陰謀まで絡んで「どれだけ広がる?!」と声が出る程の大風呂敷。とんでも系ミステリではあるが、妙な説得力もあり、理屈抜きでタップリ楽しめた♬2020/04/26
absinthe
179
不気味なミステリー・サスペンス。天狗が現れたとしか思えない、凄惨な連続殺人の謎が少しずつ明かされていく。現場に残された遺伝子を解析すると、恐ろしい事実に行き当たる。犯人は人間ではなかったかもしれない? 事件の背後には陰惨な宿命と過去を負った女性が見え隠れ。事件とのかかわりは何だろう・・・? まぁ面白かった。残念なのは、それまで活発に動いていた物語が、種明かしの段階で一人の人物の独白に埋められてしまい、そこで動きが止まってしまったこと。2015/09/15
nobby
162
いやぁ面白かった!天狗じゃなくて『TENGU』のタイトルが上手い!プロローグでの凄まじい獣いや怪物の惨殺ぶりに苦手を感じるも、本編に入ると過去を追うミステリに変貌する。26年前に群馬の寒村で起きた壮絶な連続殺人、住民が口にするのは天狗の仕業…当時、事件に向き合っていた新米記者や鑑識の記憶や記録で掘り起こす展開だが、この現在と過去の場面転換が絶妙!ある美しき女性への恋慕に哀愁漂わせながら、思いもよらぬ展開にもうページめくる手は止まらない!DNA鑑定から世界情勢まで圧倒的スケールで導かれた真実も嫌いじゃない!2020/04/04
ちょろこ
142
全てのまとめ方に感心、の一冊。面白かった。26年前、群馬の寒村で起きた凄惨な連続殺人事件。犯人は天狗?一人の記者が当時の捜査資料、物証から謎に迫る物語。序盤から読み手の想像を膨らませ、心をくすぐられる展開。体毛のDNA解析から有り得ない事実が浮かび上がる過程、複雑な人間関係に面白さを感じると共に 天狗から、とある国の水面下での思惑、裏工作まで巧く壮大に繋がれまとめられていることにただ感心のため息吐息。ラストの白い稲妻、ほんのり漂う愛が 黒一色の物語にひと匙、せつない色を添えていたのも良かった。2020/03/30
ehirano1
134
「天狗」ではなく「TENGU」なのはそういうことなんですね。なるほどね。こういうぶっ飛んだ展開は時としてシラケムードになるリスクがあるのですが本書はそんなことはなく、むしろ「いるかもね」と思わせてくれる内容でした。2023/08/30