内容説明
寺の湯潅場手伝いをする辰吉の眼前には、身売りされた幼馴染みキヌの無惨な死体があった。辰吉は操を捧げてくれたその躰を、怒りと共に懇ろに弔った。キヌは大坂の町を襲った天保大飢饉―人災の犠牲者なのだ。そんな折、師と仰ぐ浪人速水十兵衛の許を女郎屋主で岡っ引きの富蔵が訪ねてきた…(「月冴え」より)。実力派の気鋭が時代の渦に翻弄される弱者の心の叫びを活写。
著者等紹介
城野隆[ジョウノタカシ]
1948年、徳島県生まれ。大阪教育大学卒業後、教員生活を続け、99年「月冴え」にて小説NON創刊一五〇号記念短編時代小説賞を受賞、2000年「妖怪の図」で第二四回歴史文学賞を受賞しデビュー。05年『一枚摺屋』で第一二回松本清張賞を受賞。注目を浴びる実力派(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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