内容説明
“普通”の人々が日常から一歩踏み出した刹那を、実力派作家九人が描いた戦慄のアンソロジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
昨日、今日、明日。平々凡々と続くはずだった毎日がふとした瞬間に反転し、思いもよらなかった相を見せる事になる。本巻に収録されたものは、そのような話ばかり。怖いというよりひたすら嫌で不安になる。ホラー畑とミステリ畑の作家が書いているのだが、ホラー畑の方は日常の彼方にある世界、ミステリ畑の方は日常と地続きの嫌さを書いているように思えた。特に「嫌」だったのはやっぱり京極かなあ。あの独特の文体が、滅々とした憂鬱さをいい意味で醸し出しているような感じ。「犬の糞」「井戸の中」も嫌さ十分で満足。ああ、どの話も嫌だ……。2017/09/13
キンモクセイ
56
さむけより気持ち悪さが残る短編集。「厭な子供」座敷童子なんて可愛いものじゃない。もっと醜く奇妙なもの。「天使の指」吉橋には家族に言えない秘密がある。年に一度の〝懇親会〟。これを読んだ日のランチは蕎麦は無理だな。思い出しそうで。「頼まれた男」妻を殺しバラバラにして山中に埋めたと自首してきた男。妻との関係が結婚後に逆転した。何でも命令し傲慢な態度でいたあの頃のままだったら違ったのに。「蟷螂の気持ち」ヒトコワ系。雌のカマキリが雄を食べる理由は産卵するのに必要な栄養をとるためだけじゃないって知ってましたか?2021/07/06
★YUKA★
47
どの話も読みやすく、少し顔をしかめてしまう描写もありますが、面白かったです。装丁も不気味な「さむけ」の文字が中身にぴったり! 京極さんの『厭な子供』は何回読んでもさむけがします?2017/12/02
papako
47
新刊然として売られていたので、つい買ってしまつたら、ずいぶん前のだった。。。しかも、全然『さむけ』なんて感じないやつばかり。『さむけ』というとホラーっぽいけど、ただのグロ小説です。気になる作家さんもいなかった。残念。2016/05/15
えっくん
46
★★★☆☆9編の恐怖を描いたアンソロジー。身震いするようなホラーというよりはタイトル画の切り裂いた文字が象っているように人間の冷酷な内面をさらけ出した作品が多かったように思えます。エログロな描写や意図が不明な作品もありましたが、全体的にもう少し背筋が凍るような恐怖感が欲しかったところです。カマキリ女と呼ばれたホステスの話「蟷螂の気持ち(山田宗樹)」、妻を殺害した男が語る偏愛体験「頼まれた男(新津きよみ)」、突然、家に姿を現した不気味な子供の話「厭な子供(京極夏彦)」がお気に入りです。2018/01/12