内容説明
帝国海軍の象徴・東郷元帥の短剣を探し出してほしい―兄・陽一郎の知人の依頼で、ルポライター浅見光彦は短剣が盗まれた広島県江田島の海軍兵学校跡へ。が、同地は思いがけない事件に揺れていた。巨大汚職事件の中心人物が、死体で発見されたのだ。警察は自殺と断定したが、浅見は胸に刺さっていた短剣に注目する。直後、元帥の短剣との意外な関係が判明した…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
61
浅見光彦シリーズ第25弾。ミステリより社会性が強い。刑事局長である兄陽一郎からの以来で、光彦は広島の江田島へ向かう。昔の海兵学校に飾られていた、東郷元帥の剣が盗まれたので、探して欲しいと言うものだった。本作は旅情ミステリとして、江田島の情景が語られるのは何時もと同じである。しかし戦争の傷跡とも言える問題を、作者らしい切り口で語った人間劇としての物語が、大きな感動を呼ぶ作品です。戦争に置ける考え方の違いは数々あるのだろうが、生きて帰る事が出来た特攻隊員の気持ちを救う様な社会が、無かった事に怒りすら覚える。2017/07/04
ヨー
12
普段の浅見光彦シリーズだと、事件が起きると自ら探る。が、今回は依頼という形なので、あまりよくなかったかなぁ。2019/08/12
まさのり
4
広島県江田島が舞台の浅見光彦ミステリー。テーマは東郷元帥の短刀と日本人の戦争観でしょうか。兄陽一郎が苦悩するシーンは珍しい。ヒロイン近江佳美。2024/06/11
ナタニエル・ブシッチオ
3
海軍のエリート士官養成学校のある江田島が舞台の作品。無知なため、江田島はもちろんだが、海軍士官学校がこの地にあったことも知らなかった。作品が書かれた当時は世間一般にも知られた存在だったのだろうか。東郷元帥の短剣という日本の戦争歴史的に非常に価値のありそうな短剣を探すという依頼から、思わぬ連続殺人へと事態は展開。世も変われば、非常識が常識になる。今回はヒロインとの絡みは少なめ。ミステリーというより戦後史という印象が強かった。2023/05/10
どらネコ
2
☆☆☆ 2017/07/25