内容説明
名探偵エルキュール・ポワロは実在し、名作『オリエント急行の殺人』事件は、それが書かれる前年の1933年、南インドで実際に起こった事件だった!45年後の1978年、作家・高田晨一はインド政府の招待旅行で、老人のポワロと出会う。ポワロの手には、〈かつての現場・ハイデラバード急行内でふたたび殺人が起こる〉との脅迫状が…。やがて、予告どおりに列車内で殺人が発生した!全世界のクリスティ・ファンに挑戦する本格推理小説の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinshirinshi
11
『オリエント急行の殺人』の後日談的パスティーシュ。日本人作家が南インドに旅をして、老境のポアロ(のモデルとなった男性)に出会い、ハイデラバード急行での事件に巻き込まれる。着想は面白いが全体的に冗長で、作者が実際に訪れたという南インドの描写も、旅行記としては興味深いが、小説としてはいささか散漫だ。クリスティの『カーテン』をめぐる考察や、ハードボイルド作家らしい、<酒を飲む探偵は人間の弱さに目を向ける。飲まない探偵には天才的犯人と知的に対決するという形が似合う>といった意見は面白かった。2021/08/14
やまだん
6
エルキュール・ポワロにはモデルとなる人物が存在し,オリエント急行殺人事件は,インドのハイデバラード急行で実際に起こった事件だったというぶっとんだ設定の作品。45年後,ポワロに「ふたたび殺人が起こる」という脅迫状が届く。作品の雰囲気は,古きよき時代の翻訳ミステリ調で嫌いではないが,登場人物が多く,説明不足で非常に読みにくい。ミステリとしては,事件が発生せずに淡々と話が進み,残り6分の1くらいで事件が起こって真相解明…と短編にできそうな作品。トリックも,今の水準から見れば陳腐。雰囲気だけはよかった(30点)。2016/05/03
飛鳥栄司@がんサバイバー
2
再読。『オリエント急行の殺人』を読んで福島読書会に望むこともあり、ネタを仕入れる意味で、読みなおしてみた。でも、とりわけこれといった収穫はなかったなぁ。。。事件が起こるまでの前段階が長すぎてダレるし、長い前置きで伏線を張っているわけでもない。例の誘拐事件とオリエント急行の事件を逆説的に書いてみたかったのと、最後のタイトルと紐付けられるアガサのエピソードを書きたかったんだろうなぁ。2014/07/23
わたろう
0
クリスティへの冒涜です。50ページ目くらいから腹が立ってきました。やたら登場人物が多く全く物語になっていません。解説で深町真理子が「第一級の考えぬかれたミステリー」と激賞していますが、この人は作者の親戚でしょうか。どうかしてます。クソ本でした。2017/08/27