内容説明
古典文学者としての知識と作家としての筆力で描き切った、現代語訳の決定版。藤壺の宮との不義の子の誕生、車争い、六条御息所の生霊、葵上の死、朧月夜との情事、紫の君との契り―。名場面の数々を収録した第二巻は、源氏、十八歳から二十五歳までを描く。
目次
末摘花
紅葉賀
花宴
葵
賢木
花散里
著者等紹介
林望[ハヤシノゾム]
1949年東京生。作家・国文学者。慶應義塾大学文学部卒、同大学院博士課程単位取得満期退学(国文学専攻)。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社・文春文庫)で91年に日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(P.コーニッキと共著、ケンブリッジ大学出版)で92年に国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で93年に講談社エッセイ賞、『謹訳 源氏物語』全十巻(祥伝社)で2013年に毎日出版文化賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SOHSA
34
《購入本》末摘花から花散里まで。林望先生の描く光源氏は他の現代語訳にもまして何とプレイボーイ気質なのだろうか。見境なくとは言わないまでもあまりの気の多さに驚いてしまう。そして単なる浮気ではなく、どの恋も源氏にとってはいたく真剣なのだ。才能に溢れ秀でた美男子でありながら細やかで優しい気性はまさに女性に惚れられるべくして惚れられているのだろう。源氏と彼を取り巻く女性たちの息遣いがとてもリアルで現代的に感じられる。他訳では感じられない躍動感が本作では溢れている。続いて第3巻へと突入しよう。2019/12/04
たかしくん。
20
前巻に引き続き、若き源氏さまのモテぶりと懲りない女好きは続く。不細工だった末摘花、次いでこれまた源氏さま好みの朧月夜、更には少女同然の紫の君にまでお手つきをして。その間に正妻葵の上を身籠らせ、思わす引いてしまう位の絶倫ぶり。しかも、源氏には都合の良いくらいに、藤壺は出家し、葵は産後に逝去。これ程までに描く紫式部に、何らかの意図はあったのでしょうが。遂には朧月夜との浮気現場を取り押さえられた、罰当たりな源氏。そろそろ天罰の一つ位、欲しいところでしょうなあ!(笑)2020/05/16
おおにし
17
源氏物語の主役は光源氏ではなく、光源氏に愛された女性たちだった、と思わされるほど登場する女性たちは多彩である。愛されない正妻葵上の悲しい死、生霊となった六条御息所の恐ろしさ、兄の存在であった光源氏の豹変ぶりに苦悩する若紫など、謹訳により女性の描写がいきいきとしていて読みやすい。この先どんな女性が登場するのか楽しみだ。2021/02/11
てらこ
17
末摘花から花散里まで。今回も源氏さまの女遊びは最低でした。ついに密会がバレるシーンはハラハラドキドキ。 しかしながら、これまで入れ食い状態だった源氏も、父・桐壺院の崩御をきっかけに逆風が吹き始め…ということで、次巻はさらに面白くなりそう〜2019/11/03
LUNE MER
13
いよいよ朧月夜の君との関係が右大臣に露見し、須磨・明石編の手前まで。この謹訳源氏を読んでいると、田辺源氏がいいシーンを結構盛ってることがだんだん分かってくる。葵の上と愛の言葉を交わし合うシーンとか。あちらの再構築はそれはそれとして美しい物語なので好きですけどね✨。いつか子供たちが源氏物語を読んでみたいと言うことなどあれば、どのバージョンを勧めようか?なんて考えたりしながら読むのも♫。なんにせよ、我々庶民もこうやって源氏をゆっくりじっくりのんびり堪能できる、なんていい時代なんだ(o^^o)2020/01/29