内容説明
談合は本当に悪なのか?土建現場を知りつくした著者が問う!日本が立ち直るために必要な「法を超えたもの」とは。
目次
大きな社会が小さな社会を貪り食っている
土建屋の逆襲
日本の基層社会で起こっていること
日本に「自由社会」などない
談合の起源
官製資本主義が談合を生んだ
近代法とともに談合が生まれた理由
官僚文化と土建文化の接点で
顔役、金筋、新聞屋
談合文化が高度成長をもたらした
談合を変えた田中政治
自治型談合から癒着型談合へ
談合の復活が日本を救う
大震災が教えたこと
日本に本当の自治社会をつくるために
著者等紹介
宮崎学[ミヤザキマナブ]
1945年、京都府生まれ。早稲田大学中退。父は伏見のヤクザ、寺村組組長。早大在学中は学生運動に没頭、共産党系ゲバルト部隊隊長として名を馳せる。週刊誌記者を経て家業の建築解体業を継ぐが倒産。半生を綴った『突破者』(南風社、のちに新潮文庫)で衝撃デビューを果たし、以後、旺盛な執筆活動を続ける。近年の主要なテーマは、警察の腐敗追及やアウトローの世界(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mitz
3
談合の成り立ちと、担ってきた役割を、歴史的•文化的な背景から紐解いている。談合と聞くと負のイメージを抱くが、著者によるとそれは、田中角栄内閣以後、大衆的利権構造に組み込まれることで政官民癒着型へ変質し、さらにバブル崩壊•ソ連崩をきっかけに全否定されるに至った事が原因であり、本来は德川時代のムラの自治システムとして興ったものであり、欧州と違い“上”から資本主義を与えられた日本では必要なものとしてうまく機能していたという。歴史•文化•政治•経済に触れながら、談合の光と影を明らかにした本書は読み応え抜群だ。2015/03/28
OjohmbonX
2
近現代の談合のあり方を社会形態とリンクさせて順に丁寧に見ていく中で、談合は封建遺制なんかじゃなくて一旦消されてその後で復活したっていう断絶があって、実はその前後で似て非なるものなんだって指摘もあって楽しい。主に土建業者に関する話で、日本は災害大国だから復旧・復興のマージンを維持しないといけないって特殊事情があって、地元の中小業者の体力を削り過ぎないためにって理由もあるけど、そこに留まらず全体社会だけじゃない、個別社会を強化しないと世界が上手くいかない、って根本認識ともリンクした上での談合復活論になってる。2016/05/16
うたまる
1
談合は悪であるという常識に一石を投じる著者の談合善玉論。序盤に根拠の示されない断定やとても正気には受け入れられない珍説も出てくるが、中盤以降の談合史の変遷は面白く読める。そこに貫かれているのは日本流自治の系譜。そういう歴史を持つ我が国が、欧米のルールとの間に齟齬を来たすのも頷ける。「文化が違えば、同じシステムでも、そのもつ意味が変わってしまう」は慧眼。当然ながら最終的に著者は”良い談合”の復活を掲げるが、これには同意できない。著者は触れなかったが、談合で守られていると産業間で適切な雇用調整が働かないから。2016/07/24
ハザマー
0
建設、土木の人材育成には、良い談合は不可欠のようだ。 徳川時代からの談合の歴史、ヤクザや政治家の資金源に なる談合は要らぬが、大手以外の企業の生き残りには適 正な利益なければもたないね。2015/05/16
かぷりん
0
入札制度に絡む談合の内容ではなかった.ムラ社会で独自ルールにより運営される中で問題が発生した場合に,関係者が集会を開き参加者全員が納得するまで話し合いを行い,方針や結果を出すことを「談合文化」と言っているようだ.2015/01/15