内容説明
延喜十八年(九一八)秋、官位を求め十六歳の将門は上洛した。だが都では、皇胤平氏の末裔であろうと、武家は権門に媚びる存在でしかなかった。満たされぬ自尊心。将門は兵法を学び、盗賊退治によって鬱憤を晴らすが、そんな折、義賊熊坂長範が接触を図った。長範は庶民の苦しみを教え、藤原純友との出会いを策した。将門の胸には公卿政治への不信が芽生え始め、父良将が伯父に毒殺されたことも知った…。稀代の叛逆児の若き日を、濃厚なエロティシズムとアクションで描く時代絵巻。
著者等紹介
谷恒生[タニコウセイ]
1945年、新宿に生まれ、鳥羽商船高校卒業後、一等航海士として世界の海を巡る。この経験をもとに1977年、直木賞候補となった『喜望峰』と『マラッカ海峡』を同時発表、正統派冒険小説の旗手として鮮烈なデビューを飾る。以後、幅広いジャンルで活躍を続けて、近年は主に歴史・時代小説に力を注いでいる
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