内容説明
殺人容疑者三輪修の護送で上京した九州七川村の“昆虫巡査”向坊の前で怪事件が続発した。三輪の会社の部下が薬物で変死、かつての同僚が池で水死…。やがて背後に自然保護を巡る大商社の陰謀を察知した向坊は、同社が臨海副都心に建設中の巨大ビルの中庭(パティオ)に赴くが、そこでは無数の源氏蛍が飼育され、公開飛行(オープンセレモニー)を待っていた。だが得意の昆虫推理で核心に迫ろうとする向坊に黒い罠が…。はたして事件の真相は…。蛍の光に秘められた謎とは…。大好評“昆虫巡査”シリーズ待望の書下ろし第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
1
昆虫巡査シリーズ3作目。向坊巡査のキャラがとにかく楽しい。それに比べて著者の分身ともいえる矢張双の線が細い。空気のようでもあり、目障りな存在にもなる。 さて、3作目の目玉ともいえる今回の主役の昆虫は、ホタル。東京の高層ビルのイベントホールにホタルを翔ばそうという企画をめぐるミステリであるが、シリーズの持ち味らしく、ホタルの生態が詳しく描かれていて、私のような自然好き、虫好きにはたまらない。このシリーズは虫たちと遊んだ幼き日々を思い出す、私にとってはとっておきのシリーズになってきた。(2002.4記)2002/04/13
kagetrasama-aoi(葵・橘)
0
昆虫巡査シリーズ第三作目。二作目から一年後に出版。この頃、外来の魚(ブラックバス等)を放流して、生態系の破壊が問題視されるようになっていました。これは、そういう観点からも問題を提起してくれた素晴らしい作品だと思いました。作中に登場する”ミンダナオ・クリスマス・プロジェクト”って、都会の真ん中のビルですることじゃないですよね。そう言えば、火村&有栖さんもマレーシアに行った時、蛍見物してましたよね(≧▽≦)!現地で見るべきでしょう!最後に向坊さんが建てた「昆虫館」が物語を救っていました。2016/03/14