内容説明
釣りライター矢張双は、九州七川村の沢で白骨死体に遭遇した。村の駐在で“昆虫研究家”の向坊一美巡査は、骨に付着した虫から死亡時期を推定、死体は元会社社長佐山春男と判明した。だが数日後、佐山未亡人の加代が失踪し、直後、今度は謎の女性全裸死体が発見された。向坊はまたも“昆虫推理”を展開、やがて背後に巨悪が浮上すると、村に暴力団が侵入し、矢張が襲われた…。はたして事件の真相は?入念な取材と卓抜な着想で推理界に新風を送る大型新人の鮮烈なデビュー作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
1
蜻蛉はカゲロウと読む。蒸し暑い夏の夜に川面から一斉に大発生する昆虫である。成虫の寿命は約2時間と最短。俗に言う“カゲロウのようなはかない命”とはこの虫のことを指している。白骨死体についた森の掃除屋と呼ばれるシデムシやエンマムシ、カツオブシムシなどの死骸をピンセットとルーペで選別し、虫たちの死んだ時期を探っていくという気の遠くなるような細かい作業を続ける描写は凄い。ミステリとしての完成度はともかくとして、昆虫ミステリという新しいジャンルを開いた著者に拍手を送りたい。(2002.4記)2002/04/01
kagetrasama-aoi(葵・橘)
1
平成五年の初版本を購入、とても好きなシリーズとなりました。私、田舎の農家の育ちなので、虫は結構馴染みがあり、読んでいて楽しかったです。この”昆虫巡査”には実在のモデルが存在しているんですね!吃驚です!語り手のライター矢張双の個性にも惹かれました。好きです、こういう小説。2016/03/12
ゆう
0
虫屋さん、という言葉を久しぶりに見た気がした。この場合は蛾も集めてるしシデムシも詳しいから、やっぱり「虫屋さん」なんだろうなぁ。ていうか巻末にあったモデルになる人物が実在してるってのがすごい気になるわ!シリーズのようなのでまた読もうかと思う。あ、あと本格推理小説なのかはやや疑問。2010/11/04
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