内容説明
2022年6月に成立したAV新法は、業界に大きな混乱を巻き起こした。厳しい規制と1社独占の異常な搾取により、適正AV業界は衰退の一途をたどっている。そのような中、勢いを増しているのが「同人AV」というジャンルだ。今、撮影から配信まで素人の手で行なわれる同人AVに出演する若い女性が増えている。同人AVに出演するZ世代の元地下アイドル、コンサル出身のポルノハブ・プロデューサー、SNSを駆使して下着や動画を売る主婦…。当事者の証言から見えてくるデジタル時代の裸の価値とは?スマホひとつで裸が売れる時代、性をめぐる格差の真実に迫る。
目次
第1章 絶望のAV業界
第2章 敗残者の独白
第3章 Z世代と同人AV
第4章 「適正」から逃れた彼女たち
第5章 テクノロジーの功罪
第6章 バッキー事件の警告
著者等紹介
中村淳彦[ナカムラアツヒコ]
ノンフィクションライター。AVや風俗、介護などの現場でフィールドワークを行ない、貧困化する日本の現実を可視化するために、執筆を続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)は2019年本屋大賞ノンフィクション本大賞にノミネートされた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
130
女性を騙して出演を強要する事件を契機にAV新法が成立したと聞いていたが、これほど業界が深刻な事態に陥ると予想外だろう。デジタル時代になって配信を牛耳る1社独占状態下で、金融機関に頼れない底辺業種のため搾取にあえいでいるという。女優や製作者も貧困に苦しむが、今さら他の仕事には移れないのは悲惨だ。しかも撮影から配信まで素人が行う同人AVが主流となり、SNSで副業として主婦や学生が行う例が激増しているとは。もはや女が性を売らねば生きていけない社会に変貌しつつある日本は、世界のHENTAIの最先端にあるといえる。2025/04/05
H!deking
85
うーん、なるほど。アダルトビデオの業界は今こんな事になっているんですね。うちもZ世代の娘がいるので色々考えさせられました。 昔、名前のない女たちシリーズにハマってよく読んでました。中村淳彦さんのサイン本です。2023/04/14
きみたけ
66
著者は、AVや風俗・介護などの現場でフィールドワークを行い、貧困化する日本の現実をテーマに活動中のノンフィクションライターの中村淳彦氏。2022年6月に成立したAV新法の概要説明と、新法により行き場を失った関係者の証言、適法AVの7割を牛耳る寡占市場の危うさを浮き彫りにした一冊。適法AVで稼げなくなり同人AV女優にシフトせざるを得ない現状をレポートしています。何のため・誰のための救済立法なのか、よく考えないとただ現場が混乱するだけで、もっとフレキシブルな措置があってしかるべきと感じました。2025/05/04
巨峰
35
AVの同時代史として興味深く読んだ。お金以外の切り口があればなお良かったんだが…2023/03/03
なお
20
レンタルビデオ店で借りる事ができる適正AVと、動画配信サービスなどで見る事ができる同人AV。 適正AVがプロ集団の作品だとしたら、同人AVは素人が小遣い稼ぎ感覚でできるもの。ニッチな要求にも応えられるし、プロダクションに手数料を払わないでいいから、制作側も買い手側も同人AVのほうが人気で、昔からある適正AVは衰退の一途らしい。 それにしても、エロはお金になるんだなぁ。2023/12/04
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