内容説明
社会にはびこる病、その原因と処方箋。うまくいかないことがあるたびに「私は悪くない」と主張し、他人や環境のせいにする。やがて、周囲から白い目で見られるようになり、自分を取り巻く状況が次第に悪化していく…。このような「自己正当化という病」が蔓延している。精神科医として長年臨床に携わってきた著者が「自分が悪いとは思わない人」の思考回路と精神構造を分析。豊富な具体例を紹介しながら、根底に潜む強い自己愛、彼らを生み出した社会的な背景を解剖する。この「病」の深刻さに読者の方が一刻も早く気づき、わが身を守れるように―。
目次
第1章 自分が悪いとは思わない人
第2章 なぜ自分が悪いとは思わないのか
第3章 強い自己愛
第4章 安倍晋三元首相銃撃事件
第5章 社会的背景
第6章 自分が悪いとは思わない人を変えるのは困難
終章 対処法
著者等紹介
片田珠美[カタダタマミ]
広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。京都大学博士(人間・環境学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。2003年度~2016年度、京都大学非常勤講師。臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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JILLmama
22
あまり響かなかったけど、色々気をつけようとは思った。人のせいにしていないか?自分にできることはなかったか?失敗をしてもまずは自分の振り返りをしようとは思った。つい言い訳を考えちゃうのが人間らしいけど。2023/01/22
zoe
18
最初は風刺でニヤニヤかと思いきや、恐ろしい事実と足し引きの無い分析。かの国の大統領と、元首相、首相を襲撃した人、日本社会を冷静に分析する。メモです。自己正当化する主な動機、利得、自己愛、否認。自己正当化をこじらせる要因、強い特権意識、過去の成功体験、想像力の欠如、甘い現状認識。自分にとって不都合な出来事が抜ける現象、暗転化。サディスト。無自覚型のナルシスト。ゲミュートローゼ(羞恥心のない人)。現代の日本社会には、自分は割を食っていると感じている人が多い。2024/10/29
まゆまゆ
18
他者に責任を押し付け、自分は悪くないと正当化する人たちが多い実態を語る内容。現代日本の社会制度や様々な差別によって自分は割りを食っている、と被害者意識を抱いている人が多いことが背景にある。嘘をついているわけでもないので、このような人に出会ったら変えようと思わず離れるのが無難。本来向かうべき怒りの矛先が別の対象へと向かってしまう置き換えによる被害も怖い……2023/07/18
Mik.Vicky
16
私の周りにも自己正当化という病にかかっている人は結構多いように感じる。謝らせたい!非を認めさせたい!と思うこともあるし、そういう行動もとってきたが、著者によると無駄な行為どころかやめた方がよいとのこと。確かにそんな気はするな・・・控えてみよう。とともに、私自身が過剰に自己正当化しないようにしなければならない。2023/11/01
麒麟の翼
13
多くの人が「自分は正しい」と考えるが、過度に正当化する人、本書でいう病の人は周囲にも存在する。本書はその事例や要因が記されており参考になった。一般的に正しさを考えるのは当然ですが、この病の人は「甘い現状認識」「強い自己愛」から自己正当化に至るプロセスがよく分かった。彼らは自身の問題だけでなく、周囲に誤った考えを広める傾向もあり、誤りを正しいと認識するので本当に厄介だと感じた。終章の“自分が悪いと思わない人を変えるのは至難の技”が印象的で、「距離を置く」「戦うのは極力避ける」が効果的な対処法だと感じた。2023/12/31
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