内容説明
世をはかなんだ老人が書いた退屈な古典―。『徒然草』をそんな風に思っていないだろうか?それは大間違いだ。作者の兼好法師は「腐った世の中と戦え」と叫んでいる。兼好は言う。「世論に流されるな!」「高を括るな!」「知ったような顔をするな!」「不安に支配されるな!」「常識を疑え!」と。いくら知識があっても過ちを犯すのは今も昔も同じ。そこで重要なのが「見識」だ。『徒然草』には兼好法師の見識力の高さが至るところに見られる。急速にデジタル化が進む現在、人間関係も言論でも本質が見えにくくなった。そんな時代だからこそ、改めて『徒然草』から学びたい。
目次
第1章 わたしたちを苦しめる「欲望」について
第2章 愚か者による政治について
第3章 神仏と無常について
第4章 避けることができない死について
第5章 生活の知恵について
第6章 知性とは何か?
第7章 よい趣味と悪い趣味
第8章 人付き合いと会話の心得
著者等紹介
適菜収[テキナオサム]
1975年、山梨県生まれ。作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
19
100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め!。適菜 収先生の著書。100冊の自己啓発書を読むことにも価値があるし「徒然草」を読むことにも価値がある。本好き読書好きの活字中毒者としてはどんな本でも読みたいです。100冊の自己啓発書と「徒然草」の両方を読めばいいだけ。内容のない本を読むのは時間の無駄だとか退屈だとか言う人もいるけれど本好き読書好きの活字中毒者としてはどんな本でも内容はあるし本を読むことが苦痛になることなんてないから。2022/08/17
出世八五郎
19
ものぐるほしけれ!?で有名な作品の解説書。昨今の社会現象、政治状況と重ね合わせて論じており、前半の政治に関する部分は参考になった。もう何十年も改革!改革!を連呼して、一向にデフレから脱却できない。そんな連中を信じるな!とか、橋下徹を信じるな!とか…途中から人間の所作振る舞いについて述べた文章をピックアップしているが、すべてを正しいと信じ込まずに考え照らし合わせるのが良いと思う。徒然草を分かったような、楽しいと思わせてくれた。2022/08/07
ta_chanko
16
主人がしっかりしている家は、みだりに他人が土足で出入りして乱るようなことはない。それなのに、心はいろいろな感情に掻き乱されて安らぐことがない。ということは、自分は心の主人ではないのかもしれない…2022/02/05
Eiki Natori
6
徒然草とは「功名の木登り」の話が有名であるが、それ以外の話については知らなかったが、木登りの話同様に、人間への戒めとなるような話が色々書かれているようだ。 適菜氏の切り口はいつも面白く、その原本を読みたくさせてくれる。2021/11/26
coldsurgeon
5
徒然草、方上記はいづれも好きな随筆集である。それが自己啓発書として紹介されると、なるほど、そのような見方があると教えられる。懐疑する気持ちを持ち、見識をもった人間になれと、徒然草が示しているというのならば、そのような見方でいま一度、読まなくてはいけない。2021/11/30