内容説明
がんばれという励ましが、その人の心を萎えさせることがあります。絆を求められて、かえって孤独になることもあります。「否定されていたものがプラスに転じるとき、人は思わぬ力を得る。悲しみも、ボケも、お世辞も、悪いことばかりではないのだ」。そう考える著者は、これまでになかったユニークな効用論を、本書で展開していきます。新型コロナウイルスの恐怖にさらされ、不安な日々がつづく中、心の痛みを癒してくれる待望の一冊!
目次
第1章 悲しみの効用
第2章 世辞の効用
第3章 ボケの効用
第4章 ホラの効用
第5章 おしゃべりの効用
第6章 病の効用
第7章 マンネリの効用
第8章 鬱の効用
著者等紹介
五木寛之[イツキヒロユキ]
1932年、福岡県生まれ。朝鮮半島で幼少期を送り、戦後引き揚げ。早稲田大学中退後、多くの職業に就き、66年に『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年に『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞を受賞。以後、第一線で数多くの小説、エッセイを発表し続けてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スリカータ
16
時々五木さんの本が読みたくなり、図書館で探して来た本。特定宗教の信仰はないけど、五木さんが説く仏教の話は落ち着きます。2021/06/20
団塊シニア
12
9年前に「悲しみの効用」として刊行された作品ノリニューアル版である、「病の効用」のなかで人生というものは不合理だ、決して平等ではない、苦というものを意識しないでは生きていけないなという一節が心に響いた。2020/11/29
よし
2
否定されていたものを筆者は八つの効用に変える。「 悲しみの効用、お世辞の効用、ボケの効用、ほらの効用、おしゃべりの効用、病の効用、マンネリの効用、鬱の効用」「 下山の時にはものが見える余裕もある。老いというのは、ひっきょう下山 ということです」「弥陀一仏ーー 世の中にはお母さんという人がたくさんいる。友達のお母さんもいる。あれもこれもいる。けれど我が母は一人だけだ」「無記 死後の世界というものがあるのかと問われ、釈迦は 何も語らず。」2022/12/20
タペンス
2
やっぱり五木さんていう人間が極めて悲観的で暗いのだなあと思った。これから当分暗い時代ですみたいなことを言われても、もうじき寿命が尽きる五木さんのようなお年寄りはもう関係ないからいいだろうけど、これからまだまだ生きていかなければならない若年層にとっては、げんなりする。2021/04/05
神谷孝信
1
著者の本は読む度に何らかの刺激を貰え、次の本も読みたくなる内容。32021/06/19