出版社内容情報
明智光秀 残虐と謀略 一級史料で読み解く
橋場日月[ハシバアキラ]
著・文・その他
内容説明
明智光秀ほど、近年になって急速に評価が変わった武将はいないだろう。主君を奇襲し、弑逆した卑怯者だったのが、パワハラ上司から不当に扱われ、ついに堪忍袋の緒が切れた悲劇の智将として描かれている。しかし、その見方はかなり物語的といわざるを得ない。日記、手紙、公的文書など一級史料に見る光秀は、これぞ戦国の乱世を渡る武将といった猛々しさだ。他者への同情や感傷の類は一切無く、自身や家の出世栄達のためには相手を容赦なく裏切り、蹴落とし、財産を奪い、血を流す。そのため周囲から嫌われていた。つくられた虚像が一人歩きして固定化されないうちに、原点に返ることが本書のテーマである。
目次
1章 虚像と実像
2章 ふたりの主君
3章 勝ち抜くために何をしたか
4章 現われた謀略家の素顔
5章 織田家中の筆頭格へ伸し上がる
6章 絶頂期と、その陰り
7章 野望、潰える
著者等紹介
橋場日月[ハシバアキラ]
1962年、大阪府生まれ。歴史作家。関西大学経済学部卒。会社員時代を経て独立。独自の視点で史料を渉猟し、新解釈を導き出す個性的な語り口を身上とする。「歴史群像」「歴史街道」「歴史人」など歴史雑誌に寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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春風
33
明智光秀というと、巷間に知られる線が細く神経質そうな肖像画からの連想か、真面目一辺倒な印象で捉えられていると思う。しかし史料に見える光秀は、戦国武将然とした、野心家の人物としてあらわれてくる。本書では、そのような例を挙げていき、史料にみえる光秀像を提出するものであり、前述の真面目な光秀像とは一線を画す人物として再認識させられる。新書という枠組み故か、やや扇情的で牽強付会な感もないではないが、史料と考察が峻別されており読みやすい。特に山崎合戦の考察は著者の真価ともいうべきもので、納得いくものであった。2019/06/23
金吾
29
○一次資料を分析して明智光秀を洗い出しています。巷で云われている人物とかなり違います。しかし戦国において徒手空拳からのし上がっていったことをみますと妥当性あるように感じました。また信長旗下の武将たちの出世争いの凄さも感じ入りました。2024/08/04
もりやまたけよし
29
1級資料をベースに感情を移入する事なく、淡々と解説しており、光秀の事情がよくわかってスッキリした。最後はやけになったのですね。2018/09/07
なつきネコ@小学校に卒業した化け猫
16
フロイスの記述通りの光秀像。異教徒には厳しさに色眼鏡かと思えば。他にも傍証があった。信長の残虐さ、革新的なイメージは光秀からきているのかも。琵琶湖経済圏にいち早く考えていたり。比叡山焼き討ちは調査では証拠が見つからず疑問視されている話だから、このあたりは話半分だと思う。さらに光秀の妹か、姉で議論がある御ツマ木殿と信長の関係と、光秀はもっと若い可能性。この辺りの研究は気になるな。横領の常習犯というのはなんだか小悪党。本能寺の理由も自身の出世の見込みが潰え、秀吉に負ける恐怖からおこした推察は納得がいく。 2019/09/29
スプリント
16
史料をもとに歴史上の人物の真実に迫る本は読んでいてワクワクしますね。謀略の人と言われながらも本能寺の変のあとに畿内の武将を惹きつけられなかったあたり、突発的な反乱だったように思いますがどうでしょうか。2018/11/30
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