内容説明
織田信長の外交は、後継者たる豊臣秀吉・徳川家康を含め、どの戦国大名とも異なる。具体的には、武断派のイメージがウソのような「待ち」の姿勢、相手や状況によって施策を変える「柔軟さ」から、権謀術数を用いた「力の外交」までを縦横無尽に展開した。しかし、戦争と外交は車の両輪であることを熟知していた合理主義者・信長ですら、一目を置いた人物がふたりいる。それは誰か?そして、信長外交が最後に到達した形とは何か?一貫して信長を研究してきた著者が、現代にも通じる教訓とともに、日本史上稀なる人物を読み解いた力作。
目次
第1章 家督相続後の戦いと外交
第2章 上洛と周囲との外交
第3章 信長包囲網をめぐる外交
第4章 「天下人」としての外交
第5章 北陸から西国にわたる戦いと外交
第6章 全国統一の進展と外交
終章 信長外交の評価
著者等紹介
谷口克広[タニグチカツヒロ]
戦国史研究家。1943年、北海道室蘭市生まれ。横浜国立大学教育学部歴史科卒業。横浜市役所、港区立港南中学校教諭、岐阜市信長資料集編集委員会委員などを経て、現在に至る。戦国史、なかでも織田信長に関する研究を一貫して継続(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
9
谷口さんの信長本。またまたです。今回は信長が外交的にどのように処したのかに焦点を当てたもの。相変わらず面白いね、この人の書き方。ところで思うんだが、若いころの数百の人数を率いて戦場を駆け回ったとき以後は、猛将とか前線司令官としての信長は考えちゃいけないようですね。読み始めて、ご本人の書いた「信長と将軍義昭」の中に書かれていた文章を見つけました。セルフカバーとはいわないのだろうけど(笑)、信長の外交を抽出して書くとその一部にこれが入ることになるのかな。2016/01/26
六点
6
畿内を制圧するまでは、遠交近攻策や強者には気を使った外交をした信長が、天下人に近づくに連れ、ゴリ押し外交になってしまうというのは、人間の弱さというかなんというか・・・と、思いたくなりました。
代理
4
義昭と信長、けっこう上手くいってたんだなーというゆる感想。包囲網の黒幕は顕如(本願寺)では?という考察が面白い。2023/02/15
くらーく
4
谷口氏は、晩年に実家の近くにお住いのようだった。近所の図書室に寄贈されていましたね。 まあ、内容はさておき、勝ち抜いた武将の外交ですから、多少の失敗はあれども、上手く行っているわけですね。小さい時から苦労して身に着けた成果でしょう。学ぶ姿勢(日々実践はしているし)が大事ですよねえ。2022/06/04
みこ
2
自身でも何冊目だろうかという「信長本」ではあるが、読むたびに織田信長像が更新されていく。彼は必ずしも旧勢力や体制を全否定していたわけでもなければ冷酷無比だったわけでもない。 しかしながら、なるべくなら外交努力で事態の打開を図ったが最後は武力で解決というのは昨今の国内外の情勢と照らし合わせると深く考えさせられる。2015/12/17