内容説明
日本は右翼化している。他国からもそう見られている。ネット上や各種媒体では左翼攻撃が激しく行なわれ、国勢選挙の結果を見れば、左翼陣営が縮小していることは明白だ。今世紀に入って国会で新たな議席を得た政党はみな右寄りの党で、今や「保守」が国民の標準スタンスの観がある。日本において、急激に左翼が退潮したのはなぜか。どんな変化によって、それは起こったのだろうか。露命をつなぐ左翼には、もう未来はないのだろうか。左翼の衰退を経済との関係性の中で分析していく、もう一つの日本近現代史!
目次
第1章 消えてゆく左翼の重要
第2章 尊王攘夷と右翼の出発
第3章 テロリストと啓蒙思想
第4章 中国・韓国の恨み
第5章 輸入された左翼
第6章 右翼の勝利と日本の破綻
第7章 敗戦の先送りと軍・右翼への反発
第8章 左翼優位の戦後日本
第9章 増税を拒否する左翼
第10章 21世紀は右翼の時代か
著者等紹介
及川智洋[オイカワトモヒロ]
1966年、岩手県生まれ。1990年、東北大学法学部卒業、朝日新聞社に勤務。旭川支局、社会部、be編集部などで記者を務める。日本の近現代史、政治史に関心があり、現在、放送大学大学院で、第二次大戦後の日本に社会民主主義が根づかなかった理由について、民社党を題材に論文作成を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
44
図書館本。朝日新聞記者による日本左翼・右翼の近現代史。明治維新から現代までおおまかに語る。実に客観的に感じる。自分はこれらにそこまで精通してないので判断に自信がないがどちらかを一方的に貶すようなことはない。主観に満ちたスタンドプレーを排除しているのが好ましい。教科書的なあっさり感がある。いい意味でも悪い意味でも島国である日本ということを考えてしまった。ソ連と地つなぎの欧州左翼陣営の冷戦下の悩みとその解決策など、侵略の脅威がないというのことは、考え方に曖昧な部分がでてしまうのかと。2016/09/07
中年サラリーマン
8
日本人は空気ですぐ極端にふれるきらいがあるので左翼も復活してほしい、と個人的には思う。2014/10/11
軍縮地球市民shinshin
6
著者は朝日新聞の記者で1966年生まれ。東北大学法学部卒業で、現在は放送大学大学院修士課程で戦後政治史を研究しているという。内容はちょっと程度の高い卒業論文のようなもので、安易に「左翼」とか「右翼」という言葉を使っている印象。最初にこういう言葉の定義を位置付けて議論をしないといけないのだが、その根本的なところが曖昧になってしまっている。2015/01/27
ダンボー1号
4
タイトルの解答はすんなりと説明されていたが、そこに至るまでが長く、左翼の歴史ダイジェストが大半でした。21世紀以降の記述、マスメディア論など 踏み込むべきところは省略され、あくまで流れに終始していた。中盤すぎから著者自身が右か左か気になり、終盤の左翼衰退やむなしのすなおな論調に右?と思ったが元朝日新聞だった。私が政治オンチなのだろう。最後の最後に「リトリート」と2回も書いてあるが、意味分からずググってしまった。普通に知っている言葉なのか?ハロウィン?とか思ってしまった。バカだ。2014/11/28
tolucky1962
4
明治維新あたりからの政治史が書かれている点については良本。ただし、この手の本は、著者が左右どちら側から書いているか理解し冷静に読む必要はあろう。右翼・左翼は両極の考え方が必要であろうが、最近、総理の考えとネットの匿名コメントが符合し偏りかけているようで心配です。新聞読者の減少とともに、自分の好みのコメントを検索してニュースを読めるネットの影響なのかもしれません。国会できちんとしたコンセンサスができていくことが望まれます。 2014/10/25