内容説明
芸術とは何か、人間とは何か―このストレートで根源的な問いに答えたのが、本書です。「絵画に余白は必要か?」「作品の価格はどう決まるか?」「インターネットは芸術をどう変えたか?」「芸術家は才能か技術か?」「人間はなぜ絵画を描くのか?」など147の質問に、画家・千住博がていねいに答えます。また、「究極の日本画5作品」「究極の西洋画5作品」などをカラーで紹介、「美」を楽しみながら、その本質に迫ります。
目次
第1章 芸術と絵画
第2章 日本画と西洋画
第3章 古典と現代美術
第4章 制作と作品
第5章 芸術家と画家
第6章 芸術と教育
第7章 価値と価格
第8章 美術館と展覧会
第9章 東京とニューヨーク
第10章 日本と日本人
第11章 芸術の力
著者等紹介
千住博[センジュヒロシ]
日本画家。京都造形芸術大学教授。1958年、東京都生まれ。1982年、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻卒業。1987年、同大学院後期博士課程修了。1995年、ヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門名誉賞を受賞(東洋人初)。2007~2012年、京都造形芸術大学学長。2011年、軽井沢千住博美術館開館。2013年、大徳寺聚光院襖絵を完成(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つねじろう
53
自分の選んだ道を追い求める努力する天才達に神様は、世の中の本質が見渡せる頂きに一度立たせるのだと思う。先に読んだ羽生さんもそんな感じ。だから千住博も芸術とは何かという大きなテーマに対して、ひとつも臆することなく正面から斬り込んで行き微塵もブレてない。傲慢に流れず丁寧に分かりやすく説明しようというその姿勢は爽快感さえある。感動の心を伝える事が芸術だと語り、作者の言いたいことが伝わる絵画が優れた作品だと云う。静かな語り口ながら強い熱意を感じる。軽井沢で観た彼の作品同様に心の深い所で轟々と滝の音が聞こえて来た。2014/07/18
スプーン
34
豊富な知識と、冷静な判断力による芸術話が面白い!「芸術とは他者とのコミュニケーションなのです」。一部理想論的であり、芸術馬鹿的な部分も感じますが、意外とそここそが真をとら得ているのかもしれません。何にしても、これだけ語れる人も日本人には珍しいので、芸術ファンは必読!2019/04/20
Kikuyo
14
宇宙物理学者の佐藤勝彦さんと千住博さんの対談番組を見て、千住さんのことをもっと知りたくなり手に取りました。芸術は感覚的なものと思っていましたが、こんな風に明確に言語化できるものなのだと、言葉を操る力も素晴らしいと思いました。芸術は人間の生きる知恵であり、コミュニケーションである。これから絵画を鑑賞する際の参考になります。2021/05/31
ソフィア
7
Q&A方式で芸術について多岐にわたる観点から書かれている。西洋と日本、古代と近代、東京とニューヨーク。比較にとどまらず、芸術の発展についても示唆している。芸術系の学校以外はどこでも同じかもしれないが、美術の授業を寝る時間や内職に変換している人は多い。これは、とても残念なことだと私は思う。芸術は価値と意味を考えるものではないはずだ。教科のように答えが用意されている訳でもない。感性を磨くという点に芸術の授業の重要性があるだろう。2015/02/24
nizimasu
7
個人的にはまず、直島で見たウォーターフォールのインパクトというのを描いた美術家としての印象が強い。それはこの著書の中でも一貫しているモダンの中のどこか日本的な情緒感みたいなものがある。芸術に関する素朴な質問や疑問に千住さんが答える中で、それこそ西洋の絵画マーケットの文脈を捉えたものと日本人の自然観が表出した答えとが見事に「習合」していて、いかにも国際的なアーティストのたたずまいを感じさせる。個々の答えよりも姿勢そのものを味わうような著書です。その点では、村上サンや奈良サンの本とは趣はだいぶ違うかも2014/09/26