内容説明
滞日五〇年、『フィナンシャル・タイムズ』『ロンドン・タイムズ』『ニューヨーク・タイムズ』の各東京支局長を歴任し、三島由紀夫とも親交を結んだ英国人大物記者が、戦後、戦勝国の都合で作り上げられた「日本悪玉論」を断罪。南京事件、靖国参拝、従軍慰安婦などの問題について論じ、さらに三島が死を賭して訴えようとしたものが何であったかを問いかける。来日当時は戦勝国史観を疑うことなく信奉していた著者は、いかにして考え方を大転換させるに至ったのか。
目次
第1章 故郷イギリスで見たアメリカ軍の戦車
第2章 日本だけが戦争犯罪国家なのか?
第3章 三島由紀夫が死を賭して問うたもの
第4章 橋下市長の記者会見と慰安婦問題
第5章 蒋介石、毛沢東も否定した「南京大虐殺」
第6章 『英霊の聲』とは何だったか
第7章 日本はアジアの希望の光
第8章 私が会ったアジアのリーダーたち
第9章 私の心に残る人々
終章 日本人は日本を見直そう
著者等紹介
ストークス,ヘンリー・S.[ストークス,ヘンリーS.] [Stokes,Henry Scott]
1938年英国生まれ。61年オックスフォード大学修士課程修了後、62年フィナンシャル・タイムズ社入社。64年東京支局初代支局長、67年ザ・タイムズ東京支局長、78年ニューヨーク・タイムズ東京支局長を歴任。三島由紀夫と最も親しかった外国人記者としても知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miyoshi Hirotaka
73
G8で有色人種国家はわが国のみ。黒人大統領誕生は公民権運動から約60年かかった。南アのアパルトヘイトは1994年まで存在した。況や、第二次世界大戦までは白人が有色人種を支配するのは文明化という「正義」。500年続いた常識をひっくり返したのは、日露戦争と太平洋戦争。白人国家による植民地支配の終焉は、20世紀で最も大きなパラダイムシフト。連合国、つまり白人戦勝史観は行き詰る。これに便乗し、わが国を邪悪とする中韓のプロパガンダも破綻する。戦後レジームからの脱却とは、大きな歴史の流れにわが国を位置付けることだ。2015/06/29
ベルるるる
47
著者は三島由紀夫と親しかった。自決直前、三島から手紙、論文、小説が送られてもきた。三島が命に替えても守らねばならなかったものを、三島から託された遺言とでもいうものを、著者は書き残さねばならなかったのだと思う。自衛隊員に訴え、「馬鹿野郎、チンピラ」と罵られ、絶望し、そして死んでいく三島。命を絶った事で、あの時の命を絶たねばならなかったほどの絶望、そして三島の願いは今も語られている。2017/07/01
mj
41
本書での対米戦争に関する著者の主張は、今ではあまり論争の対象にならなくなっているように思う。リベラルな方々も、受け入れつつあると思う。そうであっても、これが圧倒的多数とは言いがたい。この主張を海外に向けてだけでなく、いや、国内でこそ声高に叫ばなければならないところにわが国の不幸があると感じた。戦後、西と東に分断されずに済んだ。本当によかったと思う。しかし、約70年経ってもあの戦争を総括できないことを思うと、分断されなかったことにも負の部分があると感じてしまう。(そもそもあの戦争をなんと呼ぶのか。)2014/07/21
№9
32
Amazonのレビューを見ると、翻訳の一部に問題があるらしい。しかし、それをもって本書にある著者の主張がすべて信用できないとか胡散臭いとか言えるだろうか。歴史を学ぶにつれこの国際社会には「普遍的な国際正義」などあり得ないのだと暗澹たる気分になる。自国の国益のみを考えるプロパガンダと工作合戦こそ国際社会の素顔だ。だから日本もまた自国の立場を正々堂々と主張すればいい。日本の歴史と文化とその魂に多くの外国人の方々が触れたとき、真実は何かと探し始め、日本人よりも明快にそれに答えてくれる。そんな一冊であると感じた。2014/12/01
金吾
30
○読んでいて悲しくなってきます。少し自分自身で調べたり、常識で考えれば見えてくる話でも、通説を鵜呑みにし信念みたいになってしまうことは釈然としません。幼少期に外国で西洋的教育を受けていましたが、正しいか否かは別として著者の考え方や西洋人の独善性はすんなりと理解できました。書くべきではないですが、外務省と一部新聞は結果的に国にとって害悪になっている部分が多いと感じます。人気があるように感じる白州次郎を好きになれないという話にはクスリとしました。2020/10/14