内容説明
日本中で『蟹工船』が読まれているという光景を、いったい何人の人が予想しただろうか。小林多喜二の描いた世界なんて、すでに遠い昔話だと、誰もが思っていた。が、現代日本の若い人たちは、リアルを感じながら読んでいるのだという。本書では、なかなか一般の目にふれることのない小説・評論・戯曲を集めた。『蟹工船』ではじめて多喜二と出会った人は、ぜひ他の作品にも目を向けてほしい。どれも濃厚な味と匂いのある作品ばかりである。登場人物たちが、歪みきった社会との闘いに人生を燃焼させる姿は感動的だ。そして、この作品が昔話ではなくなってきた日本の行く末に、不安をおぼえる。
著者等紹介
小林多喜二[コバヤシタキジ]
1903年、秋田県生まれ。一家で小樽に移住。小樽高等商業学校(現小樽商科大学)を卒業後、北海道拓殖銀行に勤務。1929年、プロレタリア文学の最高峰『蟹工船』を戦旗社から刊行し、ベストセラーとなる。1933年、『地区の人々』を発表した直後の2月20日、特高警察により逮捕され、築地署内でその日のうちに殺害された(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



