内容説明
町では、設計製図の講評であれば無視されるか、あるいは酷評されるような凡庸な建物が道の両側を埋め尽くしている。現代の住宅や町は、何かをつくり出そうとする専門家たちの意志を直接的に反映できるものになっておらず、得体の知れないしくみの中から自然に「できる」ものになってしまっているのだ。本書は、この「住宅ができる世界」のしくみを整理して説明し、そのうえで、住宅メーカーの過去、工務店の現在、建築家の将来を、論じたものである。
目次
1部 住宅生産の全体像(住宅生産気象図;棲分け現象 ほか)
2部 建築家と商品(マスプロダクションと建築家;商品としての住宅 ほか)
3部 住宅生産社会、その変化の諸相(在来木造の中の近代;鉄骨ALC造の町場性 ほか)
4部 近未来ハウジング戦略へ(価格と市場;ストック ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
3
『ひらかれる建築』からの流れ。やや専門的ながら、前著でいふところの(ケンチクではなく)タテモノを量産できる産業構造=世界の全体像を知ることができた。2017/07/02
かわいいペンギン(最近はReadsにいます)
0
(出版年が1998年ということもあり)1990年代までの日本の住宅関連市場のしくみの全体像を描いた本。多様なアクターが重層的に存在する「住宅ができる世界」のしくみを、資源、商品、情報などの複数の観点から明らかにしようと試みている。20世紀末に既に、建築学の専門家が「私たちが住宅をつくっているのではなく、私たちのつくる意志とは関係なく住宅は「できている」」(本文p.3)と認識していたことに驚いた。2024/03/29