出版社内容情報
時は過ぎた。
「昭和的センス」から逃れられない、
時代遅れの著者のささやかな抵抗。
辛口にして味わい深い珠玉のエッセイ集。
南伸坊さんによる描き下ろしを含む絵34点も収録。
タイトルレタリング ヨコカク
ブックデザイン 赤波江春奈+日下潤一
内容説明
時は過ぎた。「昭和的センス」から逃れられない、時代遅れの著者のささやかな抵抗。辛口にして味わい深い珠玉のエッセイ集。
目次
第一章(山田風太郎の長寿祝い;ヤクザ映画と三島由紀夫;『まんだら屋の良太』回想 ほか)
第二章(『天国と地獄』の撮影;世界人口が二十億人だった頃;「猫の手」たちの一九七〇年代 ほか)
第三章(『秋刀魚の味』に映されたプロ野球;人生はジュークボックス;「火星土地分譲予約受付証」 ほか)
著者等紹介
関川夏央[セキカワナツオ]
作家。1949年新潟県生まれ。上智大学外国語学部中退。1985年『海峡を越えたホームラン』で第七回講談社ノンフィクション賞、1998年『「坊っちゃん」の時代』(谷口ジローと共著)で第二回手塚治虫文化賞、2001年『二葉亭四迷の明治四十一年』など明治以来の日本人の思想と行動原理を掘り下げた業績により第四回司馬遼太郎賞、2003年『昭和が明るかった頃』で第一九回講談社エッセイ賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
89
昭和的な人に対する愛惜に満ちた文章の数々。厳密には昭和でない(明治や平成)人物も登場するが、著者にとって「昭和的」というのは、時代区分というより、それで一つの確乎とした雰囲気であり価値観なのだろう。象徴的な存在として、黒澤明さん、山田風太郎さん、小津安二郎さん、三島由紀夫さんなどが何度も登場し、連合赤軍の闘士たちや本田靖春さん、高橋秀実さんなどがそれに加わる。小津さんの映画を倍速で見ようとする若者に苦言を呈するような著者のような年長者こそが、正に「昭和的」なのかもしれない。南伸坊さんの絵も味わい深い。2025/06/26
阿部義彦
20
昔中坊の頃、江戸川乱歩の春陽文庫でお世話になった春陽堂書店、まだ有るのですね。失礼!最近読むようになった関川夏央さんの昔を懐かしむエッセイ。谷口ジローさんと組んだ漫画の原作者としてが私の入口でしたが、今回では漫画繋がりの方が良く登場します、ヤマザキマリ、畑中純、狩撫麻礼、大友克洋、その他も自分が好きな文化人(大瀧詠一等)が多く、楽しめました。黒澤明、山田風太郎には拘りがあり複数回触れてます。何よりも南伸坊さんのイラストが新境地、漫画っぽい線画ではなく、濃淡のついたデッサン画みたいで力が入ってます。2025/05/12
hasegawa noboru
19
前にも書いたが、著者とは同学年同世代。このエッセイ群で語られる人物やエピソードの八割方はスンナリと思い出せて、腑に落ちる。超高齢化社会の当事者となったかつての若者たちもすかっり年老いた。うるさがられ、うとんぜられ、やがて消えゆくのみの世代だろう。「時は過ぎた」(帯コピー)。”連帯を求めて、孤立を恐れず”なんてカッコいいこと言って、この国に革命なんか起こりはしなかったし、この先起こりもしないだろう。貧乏人家庭の学生が学生運動に巻き込まれるわけにはいかないと、意味は分からなくてもエラそうで強そうな、小林秀雄や2025/06/27
まこみや
12
読了2025/06/07
pulp
9
昭和を生きた人たちについて。故人が多いが、まだ存命のかたも(内田樹、ヤマザキマリ、重信房子もまだ生きてるはず)。当然、と言えば当然だが、平成以降に亡くなられかたが多い。もう平成も少しずつ過去になりつつある。関川さんが山田風太郎にインタビューした『戦中派天才老人・山田風太郎』を再読したくなって、家の「箱詰本」から一生懸命探しているんだが見つからない。絶対処分してないはずなんだがなあ。2025/05/20