内容説明
人生のできごとの喜びや苦しみに、文豪はどうとらえ、どう思ったのか。作品、本人のことば、そして家族のことばから解く素顔の芥川。
目次
其の1 幼少期―生家と養家
其の2 青年期―夏目漱石との出会い
其の3 結婚―“小鳥ノヤウニ幸福デス”
其の4 父になる―三人の息子たち
其の5 関東大震災―それぞれの証言
其の6 不穏―“多事、多難、多憂”
其の7 死にゆく日々―“彼を滅しに来る運命を待つ”
其の8 遺書
其の9 その後―家族の記録
著者等紹介
木口直子[キグチナオコ]
1982年東京都生まれ。北区文化振興財団田端文士村記念館研究員。早稲田大学卒業後、一般企業に勤務ののち2012年より現職。2015年同館リニューアルに際し「芥川龍之介田端の家復元模型」の制作監修、また芥川没後90年にあたる2017年より河童忌イベントを企画。芥川をはじめとする田端ゆかりの文士芸術家について研究し、企画展や講師を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
34
龍之介の家族の温かさが伝わってくる。それは、編者の木口直子さんの優しさでもある。私は、もともと、芥川文さんが好きだが、改めて、彼女が龍之介の妻に相応しく知的で心優しい素晴らしい女性だったことを実感する。自分へのラブレターの熱烈な文章に感動しつつ「私は時々、主人の手紙も創作の一部であったかもしれないと思ったりします」という冷静さ。龍之介の遺体を前にして「主人の生きてゆく苦しみが、こんな形でしか解決できないところまで来ていた」ことを深く理解して「お父さん、よかったですね」と呟く。とても素敵なアンソロジーです。2019/11/19
Lucy_0828
2
先日訪れた田端文士村記念館にてもとめた一冊。時系列に周りの人々の書き記したものが収められてい、家族のことばのみであるので詳細まではわからずともその人生が準えている。壮絶な作家、家族であったことがよく窺える。近く田端の家跡地に記念館も計画されている旨、そちらもいつか訪れたい。2023/03/26
しそゆかりうめこ
2
気難しくこわい人だと思いこんでいたのは間違いだった。神様に選ばれたように感じてしまう様々、あたたかい人柄の対比に圧倒された。文さんへの手紙や子どもへのあたたかい眼差しからなにか分けてもらえたように家族の1人になったようなきもちでさいごはつらくて悲しすぎて眠れず、きもちの大きさにやっぱりひとは根っこではどこかみんなと繋がっているのかもしれないと考えてしまうほどだった。家族まわりの人々そして編者の木口さんもみんながやさしくて、その優しさに包まれたような本だった。2021/09/16




