内容説明
大正末年から昭和初期に刊行した江戸川乱歩の創作集を完全復刻。生誕100年記念。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
61
ポオの次が、その名前をもらった乱歩。読了まで気がつきませんでした。1925年の初版そっくりの復刻版。初期作品のエッセンスですね。興味深いのは「D坂」と「心理試験」が、わずか1ヶ月を隔てて書かれたこと。明智が無名の書生から名の知られた探偵へ変身。「D坂」で書けなかった心理戦を書くために「心理試験」を執筆し、設定の都合上名探偵に昇格させたと推測できる。その間の月日はわずか1行半で説明されるだけ。読み終えてみれば、乱歩はパズラーではなく、本格長編を書きたかったという晩年の思いがここに始まっているように思える。2019/12/16