内容説明
長野県下の湖畔の町、射水で両大関といわれる名家の玉造家と矢部家とは先祖代々に亘る仇敵の間柄であった。その射水に向かう列車の中にはかの名探偵・金田一耕助が、お釜帽から蓬髪をはみださせたいつに変わらぬ衣装で、大いなる好奇心をかき立てられていた。なぜなら、“来てはならぬ”…という一種の脅迫状を受けていたからであった。矢部家の次男英二が玉造家の娘朋子の手で鐘乳洞の中で殺されるという事件が起きたのは二十三年前のことであったが、その朋子の無実を明かすべくブラジルからコーヒー王の養女となって“新シンデレラ姫”といわれる日系二世の鮎川マリなる女性がやって来ていた。鐘乳洞の中でふたたび次々と殺人が。頬に傷を持つ男とは。金田一の推理は…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しん君
6
信州の山奥にある射水の町の名家・矢部家と玉造家。代々仇敵の間柄と言われながら、実は祖父母から孫へと三代続けて恋仲に…。一人二役に代役、神父、ブラジル、許嫁、引揚者、異母姉妹などを盛ったお得意の鍾乳洞サスペンス。犯人は最後までわからず。活躍したような、しないような金田一。読後は1988年版ドラマ観賞し原作との違いなど楽しむ。2024/02/27
火星人碧
1
これこれ。横溝正史に洞窟とくれば、黄金コンビと言っちゃおかしいけれど、どんな話か確かめることもなく、まずはご一読しておこうという気になるね。たとえば乱歩に洞窟だと、こうまでこころ惹かれることもない。やはり横溝だからこそ描ききれるものがある。「八つ墓村」のほうが断然有名ではあっても、そこはそれ、名人の手にかかれば、また違った味わいのひと品になろうというものだ。ずいぶんと古い表紙の画像が表示されているけれど、この表紙のは持っておらんよ。「いつか帰ってくる」と言い置いて去った朋子の復讐劇、たんとご堪能あれ。2015/12/31
乃木ひかり
1
角川バージョンはなかなかないのでこちらを購入。面白いけれど、他の金田一シリーズと似たり寄ったり。2014/06/29
リンギオ
0
人間のドロッとした感じが上手くえがかれてる。怖いですねぇ。