内容説明
池袋方面と新宿方面へ走る道路がクロスするI交叉点において、一台のトラックが白木の箱を落としていった。その中から真っ白な女の大腿部がのぞいていた。それは石膏像に塗り込められた裸身のストリッパー、“堕ちたる天女”と自称していたリリー木下であった。浅草花鳥劇場支配人の浅原三十郎とストリッパー双葉藍子の証言で、リリー周辺の怪しい存在として三十代半ばの彫刻家中河謙一が浮かび上がってきた。リリーはレズビアン愛好者であり、その相手はバーのマダム水原鶴代であったというが…。中河の甘言でアトリエに連れ込まれた藍子は、不気味な等身大の石膏像二体に驚かされた。行方不明のキャバレー女の死体もその中に。他に、「眠れる花嫁」「蜃気楼島の情熱」を併収。