内容説明
第二の“若王子事件”か?総合商社丸和のマニラ支店長が誘拐された。犯人は身代金20億円を要求し、マスコミを極度に警戒して人質の生命も保証しないと脅迫している。事件を知るものはフィリピン大使・内閣官房長官・外務省アジア局長などほんの数名で、身代金引き渡し期限はあと5日しかない。局長の特別密命で部下の本郷義明が人質救出に潜入したが、その当日にはASEAN歴訪中の日本国の首相が何も知らずに現地入りする。人質の幽閉場所も犯人像も皆目不明で、すべては謎のままであった。本郷はみずからを囮にして敵の正体を暴くよりほかに手段はなかった。本郷の怒りの鉄挙がうなる。―バクラス(変造パスポート)コネクションの絡んだ事件の裏の陰謀とその黒幕は。