内容説明
シナリオライター北村克彦は高利貸し股野重郎の妻あけみと不倫を重ねていた。あけみとの関係を断つと同時に多額の慰謝料を要求され、股野を絞殺する。克彦とあけみは巧みなトリックでのがれようと図り、すべてが順調にいったかと思われたが、その奸計のまえに立ちはだかったのは警視庁捜査一課の花田警部であった…。ほかに「ぺてん師と空気男」「堀越捜査一課長殿」「防空壕」3点収録。
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学び、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和4年の「蜘蛛男」より娯楽雑誌に長編を連載、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など。昭和11年から「怪人二十面相」を少年倶楽部に連載、少年探偵シリーズは晩年まで続く。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年7月28日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kircheis
123
★★★☆☆ 読んだのは旧版で、中短編を4編収録。 表題作は、乱歩が好きな倒叙ミステリで一応明智物だが、明智自身は姿を見せず、その助言を受けた花田警部が事件を解決する。 心理的圧迫がどうのというより、令状無しに不法侵入し秘密録音するのは完全に違法捜査なのでこれは無罪確定だろう。『心理試験』の時のように正攻法で犯人を追い詰めて欲しかった。 後の3編はいずれも好印象。中では僅差で『モノグラム』が1番好きかな。 『地獄風景』の犯人のサイコパスぶりも乱歩らしくて良い。2020/03/29
takaya
14
戦後に出た著者の古典的短編集。特に凝ったミステリではないものの、安定した筆力でどの短編も楽しめました。最後の『防空壕』は、著者の生々しい空襲体験が書かれていて、単なるミステリを超えた迫力があり、異色の作品でした。2024/01/06
まさ☆( ^ω^ )♬
10
タイトル作含む4編の短編が収録されています。「防空壕」が一番面白かったかな。空襲の生々しい場面と、とんでもない勘違いのユーモラスさのギャップが面白い。「月と手袋」もまずまず。「ぺてん師と空気男」はちょっと長い中編でしたが、嫌いなテーマなのでイラッとした。「堀越捜査一課長殿」は面白いんだけど、告白ものはレポート読んでるみたいで苦手。全体的に地味な印象ではありました。2021/02/08
under
5
乱歩作品でも名作と呼ばれるものは大体読み終えて、ここらへんまでくると地味なものしか残っていない印象。江戸川乱歩文庫完走しようかと思っていたがここらでやめてもいいかもしれない。印象に残るものは少なかったが『防空壕』がベストかなぁ。とりあえず心理試験までは読もうと思う。2021/07/14
K
2
初 江戸川乱歩です。 短編集なので読みやすかったです。 「月と手袋」で犯人が心理的にじわじわと追い詰められていくのが印象的でした。2022/04/09