内容説明
黄金の仮面をかぶった怪人「黄金仮面」が出没し、上野公園で開催された産業博覧会で出品された天然大真珠「志摩の女王」を盗んでいく。脱出の途上、怪死を遂げたかに見えた黄金仮面だが、日光山中の美術蒐集家の鷲尾侯爵家の周辺でその姿が確認される。結婚を控えた鷲尾家の娘・美子が怪盗の正体を見るや彼女にせまる危機!―湖上に逃げた怪人の意外な正体とは?さらに驚きの怪事件が続出する。意味ありげな「A.L」の文字を見つけるが…名探偵・明智小五郎の推理が冴えわたる!
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和2年までに「D坂の殺人事件」「人間椅子」「パノラマ島奇談」などを執筆する。休筆を挟んで「陰獣」「芋虫」「孤島の鬼」などを発表。昭和4年の「蜘蛛男」より娯楽雑誌に長編を連載、「魔術師」「黄金仮面」「黒蜥蜴」など。昭和11年から「怪人二十面相」を少年倶楽部に連載、少年探偵シリーズは晩年まで続く。昭和40年7月28日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青蓮
100
今回もとても楽しく読みました。魔術師のようにあの手この手で逃げ回る黄金仮面vs相手を何処までも追い続ける明智小五郎。なんと黄金仮面の正体は有名なフランス人でした。わくわくドキドキするような物語の展開に、流石は乱歩!と思わず喝采を叫びたくなりました。2017/05/19
ころこ
30
作中あるように、ポー『赤き死の仮面』から着想を得ているようです。死から逃れるのとは正反対に、黄金仮面を皆が追いかけます。黄金はある側面からは富が蓄積される魅力ある立場を意味します。犯人は単に悪い奴ではなく、ピカレスク小説の系譜にあるといえます。犯人を追ってはいますが、暗号を解くシーンがあるように、宝箱を探し求める冒険譚のようにも読めてしまいます。似たところではルパン三世かなと思って読み進め(明智=ルパン三世ということですが)、後ろの方を数ページ読んでみたら、ルパンとか不二子とか書いてあるじゃないですか。2019/02/28
まさ☆( ^ω^ )♬
8
子供の頃に読んでたつもりでしたが、全然覚えてなくて、黄金仮面があの人だったなんて!ビックリしました。明智探偵や警察の詰めが甘くて、何度も犯人を取り逃すのには笑えます。それに、犯人の差別的な発言や手口が強盗殺人なのでイメージがかなり崩れてしまいましたが、こんなもんなんですかね?なんだかモヤモヤする内容でした。好みではないかな。2021/03/14
under
5
乱歩らしからぬ健全さの長編。明智小五郎を主人公にし敵役はまさかのアルセーヌルパン。読みやすくはあり、一定以上の面白さはあったが流石に『孤島の鬼』より面白いとはいかず、やはり乱歩は短編の方が好み。2021/06/24
めりっく
4
乱歩の通俗長編らしく荒唐無稽さがやはりありはするけれど、ハリウッド映画ばりに目まぐるしく展開させていく筆致はなかなか読ませる。搭上の首吊り、逃走中に鉢合わせた貴賓への最敬礼、赤死病の仮面など、映像を喚起させるシーンに見る凶々しさと稚気の匙加減がさすが。ただその後の展開を予告するような書き振りなので意外性は少ない。また明智が推理や解説をしないので探偵小説とも違う。探偵と黄金仮面の騙し騙されと活劇こそを楽しむべき小説だろう。結局は事件が無に帰するオチのつけ方は、犯人が犯人だけに当然だけれどやはり巧いと思った。2022/05/21
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