内容説明
美術商・稲垣平造が女事務員募集の広告を出した。その広告にひかれて稲垣のもとを訪れた里見芳枝は、その日から消息を絶った。稲垣のために殺された芳枝の死体は腕・足とバラバラに石膏細工の中から見つかる。数日後には、芳枝の姉絹枝も死体となって発見される。不敵な挑戦状を受けて颯爽と立ちあがったのは、犯罪学者・畔柳友助博士とその助手・野崎青年であった…。読者の想像を絶する凄惨な連続美女殺人事件をえがく乱歩長編探偵小説の代表作!
著者等紹介
江戸川乱歩[エドガワランポ]
1894‐1965。三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ももっち
60
好みの容姿の乙女を惨殺する異常快楽殺人者の蜘蛛男と、素人だが名探偵である畔柳博士との攻防。魔術のような犯行をやってのける蜘蛛男の正体は?と、胸踊る乱歩世界に浸り始めて間も無く、スレている自分に気づく。犯人がすぐ分かり、後は答え合わせと新たな展開を臨む読書となった。こうなると、蜘蛛男の変態ぶりを楽しむしかない。凌辱より死の間際の悶絶に興奮し、死体を芸術と称し損壊しまくるそのインスピレーションは悪趣味でエロチック。安定のエグさとグロさ。終盤に出てくる本物の名探偵!猟奇に徹した探偵小説で、シンプルに面白かった!2017/06/10
リッツ
30
再読、と言っていいのか?子供の時読んだのは青少年向けに割愛されてたかも?やはり時代を感じる、活劇のような語り口。探偵ものはこんな感じだったか。酷い!血も涙もない犯罪。姉妹とも毒牙にかけるとは。残された母が気の毒でならない!と憤りながら読んでたが、あと一歩で油断して逆転ってお約束?ほんとに失礼ながら思わず心の中で『オイッ!』とツッコむ。しかし複雑な女心や禍々しい芸術性など感嘆。また未読の読んでみよ。2018/10/24
みのるん
5
エグい世界観と駆け抜けるようなリズム感。 読者に寄り添い、読者の期待していた展開に物語を進展させてくれる安心感は蜘蛛男のトリックだった。読者として、明智の登場まで騙し続けられていました。
白いカラス
4
明智小五郎が登場するまではちょとダラダラした感じでしたが明智小五郎が登場してからはスッキリしましたね。2024/01/01
屋根裏部屋のふくろう🦉
3
それにしてもこの蜘蛛男だが、しぶてぇしぶてぇ。よし、これで万事休すかと思うのだがそうは問屋が卸さない。見ればまだ本の残りが半分ほどある。それじゃぁここで終わるはずがないとてそのまま読んでいくと、案の定、ひと波乱ふた波乱待っている。まあそれだけ楽しませてくれる小説だよね。 結末は乱歩の小説ではよくある形だが、こういうのは日本的な結末といってもいいのだろうか?2017/12/24