春陽文庫<br> 暗黒星;闇に蠢く

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春陽文庫
暗黒星;闇に蠢く

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  • サイズ 文庫判/ページ数 303p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784394301264
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

戦災で廃墟に化した大都会東京の中で、ここ麻布K町に焼け残った赤レンガの怪西洋館があった。そこには奇人資産家として知られる伊志田鉄造氏一家が住んでいた―。長男の美青年一郎とその姉の綾子のうえに奇怪な、そしてぶきみな脅迫の牙が迫る!一郎の依頼で名探偵・明智小五郎と助手の小林少年は伊志田邸に怪人のナゾを追う!明智を嘲弄するかのごとき悪魔の声の電話が!そして一郎は怪人の手で重傷を負わされた。深夜、邸内にある円塔の階上にたたずむ白衣の怪女性!意外にもそれは綾子であった!義母君代、妹鞠子と次々に殺された!はたして悪魔の正体は!?その復讐のナゾとは?イキもつがせず展開する物語のおもしろさ!名作「暗黒星」「闇に蠢く」の2編収録!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

セウテス

68
「暗黒星」と「闇に蠢く」の2作品。「暗黒星」は明智小五郎登場のミステリーだが、「魔術師」との類似点が多く気になる。犯人は解りやすいものの、美男美女のきょうだいと明智小五郎とのやり取りに、異質な雰囲気とその描写に力を割いていて、乱歩作品の特徴の一つを大いに感じる。「闇に蠢く」は、洞窟に閉じ込められた3人が、仲間を食べる事で命を繋ぐ。その極限状態のおぞましさ、凄まじいまでの生への本能が狂気を放つ。しかし本当の恐怖は、助かった男が人肉への思いを忘れられなかった事だ。異常な心理の描写の迫力に、感覚が麻痺する様だ。2016/07/28

Vakira

56
約100年前、乱歩さん初の長編に挑戦したのがこの作品。乱歩さん、エドガー・アラン・ポーに強く影響されペンネームを江戸川乱歩にしたそうだが、初の長編はジュール・ヴェルヌの「チャンセラー号の筏」を拝借。ウヒー カニバリズムやん。100年も前に独特の変態性炸裂!う~んと、唸らせる。君の心臓を食べたい。当時は「新しき探偵小説の作家江戸川乱歩氏が自ら奇絶怪絶の変態的興味と称する一ケ年連載の探偵長篇『暗闇に蠢くもの』」と喧伝されたらしい。賛否あるかと思いますが、あらためて乱歩さんの凄さを認識しました。2024/04/02

めしいらず

47
20年ぶりの再読。表題作よりも併録の「闇に蠢く」。数ある乱歩作品の中で、最も恐ろしい。謎解き小説として見るとあまりに弱い。申し訳程度に明かされる真相も、ぞんざい感を拭えない。だが、この小説の眼目は、実はそんな所になど、ない。主人公たちが生き埋めにされた洞窟内の真実の闇。そこで繰り広げられるのは、人倫の枷を取り払った人間たちが見せる、現し世の地獄。真の闇と真の飢えとが、想像するのも憚られる方向へと、人を抗う術なく突き動かす。ラストの凄惨な幕引きは、人と獣の境目にある主人公が最期に見せた、人間としての片鱗か。2014/01/31

鏡子

39
「暗黒星」は数年前に読んで結末は忘れたものの、始まりの、家族で十六ミリフィルムを廻していると 美少年の大写しになった瞬間 映写機の不具合でフィルムが焼け 大写しの美少年の右目からジワジワと黒い不吉な穴が広がる、という描写がとても格好よい。「闇に蠢く」は密閉された洞穴のなかの極限状態でかつて仲間だった者の人肉を食すことで生きながらえる。ナントカ地上へ出たあともあの甘美なる味が忘れられず、男は墓をあばく・・・地獄絵図を呈するラストシーンの美しさにひれ伏すばかり2016/03/22

shiaruvy

7
★3.5 やはり,明智くんのでない「闇に蠢く」の方が格段に面白い! 子供時代「暗黒星」は大好きだったのになぁ..(><;)2012/01/13

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