内容説明
恐怖!戦慄!理屈では割り切れぬ、人間世界の恐ろしい事件の数々。怪奇、伝記、幻想時代小説の粋がここに!「怪異談牡丹灯籠」(竹山文夫)・「怪談牡丹灯籠」(大西信行)・「牡丹灯籠」(長田秀雄)・「牡丹灯籠」(川尻泰司)・「牡丹灯記」(岡本綺堂)の五編を収録。
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
46
『牡丹灯籠』という切り口だけでも人形劇あり、戯曲あり、その原典である「牡丹灯記」の換骨奪胎も読めて楽しい。「怪異談牡丹灯籠」は純愛怪談をミステリーという切り口で解き明かしているのが意外。でも動機論からいうと納得。戯曲版は三遊亭円朝の落語を基にしている因果応報譚。ただ、悪女だが惚れた男には甲斐甲斐しいお国や後々の事を講じたとはいえ、恋女房を殺した事に愕然とする伴造に掛けられた誤解は余りにも皮肉で物悲しい。人形劇の口上も世相への皮肉から始まるのは落語みたいで面白い。2025/04/05