内容説明
三千石の旗本小出大和の弟源三郎は25歳、部屋住みの身にあてがわれた離れの居間へ、しばしば女の客人を迎えていた。しかも、その数がすでに十指を超すといった気ままさであった。が、年齢が一つ違いの従弟の神谷弁之助は近々、遊び仲間である松平国之丞の妹文江と祝言を挙げる手はずなのだが、文江が名うてのじゃじゃ馬姫ということで…。今日も源三郎が出茶屋の妓を拉致して姿をくらましたとして、侠客湯灌場の鬼三郎が訪ねてきた文江と諍となっていた。実は、文江は源三郎を慕っていたが、表面上は“なによ、あんなへなちょこ侍”と取り繕っているのだった。源三郎の謎めいた行動ははたして。―“女体百万両”の謎とは何か。そして源三郎と文江、出茶屋の妓千恵との仲は。