内容説明
江戸の街は初午(陰暦2月の最初の午の日)でにぎわっていた。江戸市中には大小4、5千からの稲荷社があり、それが初午の日には朝からいっせいに笛太鼓ではやしたてるのだから、まるで雷鳴のとどろきの中にいるようなもので、そんな喧騒に圧倒されでもしているように街角に立っている若侍があった。まだ24、25歳で、無紋ながら黒羽二重の柔らかものを着た気品のある若侍で、名を春野草四郎といった。その春野草四郎、烏森稲荷で知り合ったよろずの茂七という町人とともに、殺人事件の渦中へとまき込まれることになった。事件の謎と、春野草四郎なる若侍の正体は…?―事件は上州館林6万石は秋元家の世継ぎをめぐる2派の暗闘に連っていた。
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- 和書
- 死体を語ろう 角川文庫