内容説明
生類憐みの令が出された徳川綱吉の時代。見知らぬ男から手渡された包みには猫の死骸が入っていた。これがお小夜の運命を狂わせた。行く手に現われる黒猫の怪。死体の眼を覆っていた髑髏銭。髑髏銭の謎を解く秘本『精撰皇朝銭譜』は柳沢家に…。美剣士神奈三四郎は、ついに将軍綱吉に祖父の怨みをつきつけた。三四郎は、実の兄(徳川家光)に切腹させられた駿河大納言忠長の孫。三四郎を慕う可憐な美少女お小夜。お小夜と生写しの檜姫。檜もスリのお銀も三四郎を恋い慕う。過酷な運命にもてあそばれる人間模様。怪人・念仏の仙十郎。殺人鬼銭鬼灯。事件の謎はもつれにもつれて…。日本伝奇小説の神髄がここに。
感想・レビュー
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デルタアイ
2
伝奇小説というよりはハードボイルド小説のような気もする 浮田の八宝なんかが絡む髑髏銭、序盤からオカルト臭が なんて思ってたら侍顔負けの女たちや、粋でいなせな男たちが繰り広げる髑髏銭争奪戦そのもの方が魅力的 国枝士郎なんかもそうだけど時代が変わっても読ませる文章力って凄いな ☆8.82025/07/19
ocean
0
角田喜久雄、1938年発表の小説。元禄の江戸を舞台にした伝奇小説。 両親に死なれ一人暮らす貧しい武家の娘、徳川家の血をひく美貌の素浪人、鎖がまを操る狂気の殺人鬼、伝説の大盗賊、怪しい豪商、妖艶な女掏摸、男勝りのお姫様・・・将軍綱吉や時の権力者柳沢保明も巻き込んでの、財宝の在処を示すという「髑髏銭」争奪戦。とても面白いです。 だんだん同じ所での堂々巡りみたいな話になって来るのと、ラストが悲しすぎるのが一寸難点。 同時代の土師清二作「砂絵呪縛」には劣りますが傑作時代劇だと思います。 2015/11/14
kanamori
0
☆☆☆2010/10/17