内容説明
紫雲流縄術―さみだれ縄の秘術を駆使するのは神田連雀町の捕物名人と謳れた御用聞き仏の仁吉のひとり娘、牡丹の花が咲いたようにあでやかな娘盛りは十九のお絹であった。そのお絹を助けるのは右の二腕に並んだ五つの黒子から、人呼んで流れ星の雨太郎という歌舞伎の若衆かと見紛う快人物、江戸人士からは渇仰の英雄視をされる神出鬼没の怪盗。ときに、江戸の街は毒虫さそりを使う黄虫呵、またの名をさそり道人という妖しの怪人の暗躍に慄え上がっていた。そして、伝説将棋谷にまつわる暗雲と渦巻く謎の行方は。―阪東妻三郎・市川右太衛門・勝新太郎の流れ星役で、戦前戦後に三度も映画化された角田喜久雄の伝奇時代小説の不滅の傑作、興趣尽きることない名作「風雲将棋谷」の新版。
感想・レビュー
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ケイト
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もう、もう、すっっっごく面白かったです! 将棋の腕と縄さばきがめっぽう強いお絹さん、義心にあつい侠盗雨太郎、妖術悪計の魔人黄虫呵をはじめとする興味をそそる人物たちを登場させつつも、その魅力にたよることなくあくまで物語の面白さのみで話を進めていくところがすごい。次つぎ想いもよらぬ展開に、主人公男女の決別に胸が痛くなったり、魔人の罠のいやらしさに腹の煮える想いがしたりと、場面ひとつごとに興奮させられうならされ、感情ゆさぶられっぱなしで。最後には二重の意味でまさかの結末! ほろ苦い余韻も楽しませてもらいました。2017/02/27
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