内容説明
クラシック音楽に「グルーヴ」は存在するのか―?音楽体験の本質を追究する民族音楽学者が、演奏の第一線で活躍する10人にインタビュー。それぞれの言葉で自らの演奏や聴取体験の「グルーヴ/心地よさ」を語る。読めば読むほど味が出る、音楽の真髄!
目次
1 「音楽を造り込む」(堀米ゆず子(ヴァイオリン))
2 「響きのかたちをイメージする」(鈴木学(ヴィオラ))
3 「インテグラル(統合された)グルーヴ」(上野真(ピアノ))
4 「みんな、ぼくの手のひらの上で踊ってる」(池松宏(コントラバス))
5 「ティンパニは子音の響き」(岡田全弘(ティンパニ))
6 「音楽で大切なのは遊びだ」(池上亘(トロンボーン))
7 「ハーモニーがグルーヴを生む」(吉田將(ファゴット))
8 「いい響きを作るには?」(矢部達哉(ヴァイオリン))
9 「響きのあいだを人が繋ぐ」(下野竜也(指揮))
10 「音楽を共有すること、繋がること」(小曽根真(ピアノ))
著者等紹介
山田陽一[ヤマダヨウイチ]
1955年生まれ。京都市立芸術大学音楽学部教授。学術博士(大阪大学)。専門は民族音楽学、音響人類学。第15回田邊尚雄賞・第16回小泉文夫音楽賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こーた
223
音楽を聴く習慣がない。ましてやクラシック音楽となると、恥ずかしながらこの本に登場する奏者の楽器も、ピアノやヴァイオリンならまだしも、ティンパニやコントラバス、トロンボーンにファゴットとなると、にわかにその形状を想像できないくらいには疎い。それでも読めばすこぶる愉しい。音楽を聴いていて心地いい感覚、グルーヴとは何か。そもそもその気持ちよさのことをグルーヴといっていいのか。演奏家は奏でるとき、何を考え、どう聴いているのか。またどのようにその音楽を生み出しているのか。言語化の難しい感覚を、⇒2021/07/23
アヴォカド
11
クラシック音楽にとってのグルーヴとは…ということですが、最初乗れなくてちょっと苦労。なるほどそうかーと思うところと共に「?」もたくさんある。どなたのお話もそれぞれに、いろいろ考えさせられたけれど、中でもジャズとクラシックの両方を演奏してきた池上亘氏の話が面白かった。2021/07/14
Ezo Takachin
7
とにかく面白かった。音楽を聴きながら一気に読み終えてしまいました。クラシック音楽にもグルーヴはあるし、遊びやノリなど様々な要素があるということ。それぞれのプレーヤーの感じていることや、音楽に対してどのように向かいあっているかもよく分かった。オーケストラを聴くのがますます奥深くなり、楽しくなりそうです。2020/08/18
あんさん
6
音楽はどこまで言葉を尽くしても表現できない部分が残るが、機械的ではないリズムの連なり、和音の移り変わり、メロディの揺らぎ、色々な成分を含んだ響きの拡がり等々が、気持ちの良さに繋がってくるのだろう。コントラバスを弾いているので、池松さんの言葉には肯く所が多かった。マーラー5番4楽章冒頭のピチカートは、コンマスに合わせていたら、自主的に先に出るようコンマスから言われ、勇気を持って出たところ。本書で種々語られるグルーブ感は、正直時々しか感じないが、それは貴重な瞬間で、だから音楽を続けられているのかもと思った。2022/01/29
斉藤フィオナ
6
クラシック音楽に明るくないため、出てくる専門用語や言い回し、個別の楽曲について具体的に思い浮かべることができずそこが残念。ではあるが、10名のクラシック音楽に携わる演奏家(指揮者)がそれぞれの立場から演奏とその“グルーヴ”について考え、感じ、思うことを自分の言葉で語っているのは興味深く面白かった。これからオーケストラを聴くときの意識が変わるかも。いや、そんなことを意識せずにグルーヴに身を任せることができるのが最上であろう^^。2021/12/14