内容説明
この本は、名ピアニストたちがどんな問題を抱え、それぞれにどんなことを考えて厳しい人生を生きているかということであり、彼らの孤独の意味を私なりに問い直している。また、これまで見たり聴いたり話したりしたピアニストたちの人と芸術について、私なりに一生懸命書くことで現代のピアニストたちを取り巻く状況をすこしでも明らかにし、そのなかで苦闘する彼らの真実を描いた。
目次
1 思考するピアニスト(マウリツィオ・ポリーニ;ウラディーミル・アシュケナージ;ヴラード・ペルルミューテル;タチアナ・ニコライエワ;クラウディオ・アラウ;フランス・クリダ)
2 現代のヴィルトゥオーゾ(スヴャトラフ・リヒテル;ルドルフ・ゼルキン;ブルーノ・レオナルド・ゲルバー;アルトゥール・ルービンシュタイン;アンドレ・ワッツ;ヴィルヘルム・バックハウス;ウラディーミル・ホロヴィッツ)
3 個性脈の流儀(マルタ・アルヘリッチ;モニーク・ドゥ・ラ・ブリュショルリ;アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ;リリー・クラウス;シプリアン・カツァリス;ルース・ラレード;グレン・グールド)
4 ピアニストの選択(ブルーノ・リグット;ダニエル・バレンボイム;クララ・ハスキル;クロード・エルフェ;イングリット・ヘブラー;エリーザベタ・レオンスカヤ;ミェチスラフ・ホルショフスキ)
5 新時代への挑戦―日本のピアニストから(仲道郁代;迫昭嘉;花房晴美;神谷郁代;小林道夫;内田光子;中村紘子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろべると
9
昨年80歳で亡くなった著者が91年に出した本。あとがきに「私がこの本で書きたかったのは名ピアニストたちがどんな問題を抱え、それぞれにどんなことを考えて厳しい人生を生きているかということであり、彼らの孤独の意味を私なりに問い直してみることであった」とある。確かにピアニストは日々レッスンに励み、作品に対する解釈を深め、ひとりでステージに立たねばならない。名声を得たホロヴィッツにしても、老醜を晒せば厳しい批判を浴びるのだ。そんなピアニストたちが生み出す魂のこもった音楽に、これからも可能な限り向き合っていきたい。2023/03/12
夢仙人
0
面白かった。2020/05/07