出版社内容情報
作家と作曲家が直接コラボレーションするとき、どのような融合や摩擦が起こり、創造性が生まれるのか。
19世紀末から20世紀初頭にかけて、「フランス的な音楽劇」を語り、奏で、創造しようとした芸術家たちがいた。エミール・ゾラとアルフレッド・ブリュノー、アナトール・フランスとジュール・マスネ、ピエール・ロティとシャルル・ケクラン、モーリス・バレスとリヒャルト・ワーグナー……さまざまな作家と作曲家たちの軌跡を、ドイツ語圏を含むオペラ受容史を含む多角的な視座から読み解く。
【目次】
序 論 「言葉を奏で、音楽を読む」とは?(林信蔵)
第1章 小説家が主導するオペラ共作――理論的言説・往復書簡・手書き楽譜草稿(林信蔵)
第2章 フランスにおける散文オペラ論の諸相――グノー、ブリュノーからドビュッシーへ(成田麗奈)
コラム① アルフレッド・ブリュノーを探して(寺田寅彦)
第3章 ドイツの音楽家視点から眺めた近代フランス・オペラ略史――《タンホイザー》パリ初演から《カプリッチョ》初演まで(広瀬大介)
第4章 「オリエント」を読む、描く、演じる――近代フランスにおける異国趣味の拡張と反転(福田美雪)
第5章 ベル・エポックのオペラが照らした奇跡の物語――マスネが奏でたアナトール・フランスの文学(笠原真理子)
第6章 物語論とオペラ――ゾラのオペラ台本における紋中紋(中村翠)
第7章 音楽の紋中紋――ケクランが《ペルシアの時》で描く「想像の旅」の始源をめぐって(川上啓太郎)
コラム② ランボーとヴェルレーヌの「オペラ」(倉方健作)
第8章 モーリス・バレスのワーグナー受容――《パルジファル》を中心に(田中?三)
あとがき
註
索引