出版社内容情報
セヴラックの音楽の魅力は何といっても、みずみずしく、歌心に満ちており、新鮮な風が漂い「人はそこで胸いっぱいに深呼吸するのだ」といったような愛のある音楽なのだ。――館野 泉(「フランス近代の、人間愛溢れる音楽」より)
ドビュッシーやラヴェルと時を同じくしたフランス近代の作曲家デオダ・ド・セヴラック(1872-1921)。南フランスに出自を持つ彼は、故郷ラングドックやカタルーニャの豊かな自然とともに育まれた歴史や文化への思いを、独自の語法によって音で表現し続けた。敬虔さ、人間愛、豊かな感性を持ち合わせ、「大気のように私たちを包み込み、同時に詩的で色彩豊かで品の良さを兼ね備えている」セヴラックの音楽の背後には、南フランスの美しい自然が輝きを添えている。
その演奏と研究に積極的に取り組み、その豊穣なピアノ音楽の世界を極めたピアニストによる、演奏と鑑賞のためのガイドブック。セヴラックの創作思想を追い(第1章)、全ピアノ作品を解説(第2章)するとともに、独自の和声法への詳細な分析(第3章)を加え、生地であるフランスよりも日本での人気が高いと言われるセヴラック独特の音楽の世界を、とことん掘り下げる。近代フランスのピアノ音楽レパートリーへの新たな扉を開く。
内容説明
南仏の自然とともに育まれた文化への思いを、独特の語法と音で表現し続けた作曲家の軌跡。
目次
第1章 セヴラック 生涯と創作思想(セヴラックのピアノ音楽;セヴラックの創作思想はどのように育まれたのか;パリ・スコラ・カントルム―古楽復興と地域主義の合流点;セヴラックの南仏地域主義;セヴラックと民謡;セヴラックのカタルーニャ地域主義;パリの友情)
第2章 セヴラック 全ピアノ作品(第1期(1896‐1900年)
第2期(1901‐1907年) 南仏地域主義の時代
第3期(1908‐1914年) カタルーニャ地域主義の時代
第4期(1915‐1921年) 地中海主義)
第3章 近代音楽の始まり―セヴラックにとって調性の拡大とは(竹内淳)(セヴラックの音楽語法を知るために必要な背景;セヴラックの和声の特徴;セヴラックも使った新しい音のパレット;構造、形式におけるセヴラックの特色とは)
著者等紹介
深尾由美子[フカオユミコ]
桐朋学園大学ピアノ科卒業後、イタリア、ウィーン、ドイツでピアノソロ、室内楽の研鑽を積み、フランス国立リヨン地方音楽院修了。2021年桐朋学園大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。博士(音楽)。日本音楽学会、日本セヴラック協会、日本フォーレ協会、日本スペインピアノ音楽学会所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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