出版社内容情報
ベートーヴェンの伝記や作品史を構成してきた数々の逸話と対峙し、その真実性をあらためて検討。書簡や会話帖など史料を徹底的に洗い直すことで、政治・社会情勢に翻弄されながら経済的に自立した芸術家として活動し続けたベートーヴェンの姿が浮かび上がる。
内容説明
「音楽史」の方法論を問う。虚実入り交じる伝記・逸話を篩いにかけ作曲家の社会的・経済的な営みから創作活動の実態をとらえる。
目次
史料と向き合う
第1部 耳疾と経済(耳疾の影響は何をもたらしたか;出版活動;経済状況)
第2部 「大作品」シンフォニー、オペラとオラトリオ(ベートーヴェン・シンフォニー再考;ナポレオン戦争がベートーヴェン作品の内実に及ぼした影響;オペラとオラトリオ)
第3部 ミサ・ソレムニス(“ミサ・ソレムニス”とルドルフ大公;作品献呈の意味;生涯最大の被献呈者、ルドルフ大公;ルドルフ大公献呈作品としての“ミサ・ソレムニス”)
音楽史とは何か
著者等紹介
大崎滋生[オオサキシゲミ]
音楽社会史家。1948年生。ハイドン学者として出発し、1978/79年にヨーロッパ13ヵ国の図書館・修道院等でハイドンの原典資料を調査・研究。その成果を日本語・ドイツ語によるいくつかの論文にまとめて学会誌等に発表。1986/87年にドイツ・マインツ大学でゲスト教授として演奏慣習および音楽社会史の研究に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
98
独特のベートーヴェン研究で有名な大崎滋生先生の集大成。先生の主張は、従来のベートーヴェン像を徹底的に否定・修正する:シンドラー言説の徹底排除、最後の三大ピアノソナタも「パンのための仕事」、「エロイカ」でナポレオンを否定したというのは嘘、ベートーヴェンを解く鍵はオラトリオ(「荘厳ミサ曲」はミサ曲の、「第九」は交響曲のオラトリオ化)、交響曲中心史観の否定など…。即座に信じるかは別にして、ベートーヴェン新研究の三種の神器(書簡交換全集・会話帖全集・新作品目録)を詳細に分析した上での論考には、一定の説得力がある。2024/11/23
takao
1
ふむ2024/10/27
Go Extreme
1
史料と向き合う: ベートーヴェン研究の現在 シンドラー言説を徹底排除 耳疾と経済: 耳疾の影響 出版活動 版点数の推移 品出版の実相 経済状況 社会権力からの自立と年給問題 1816年以降経済状態悪化 大作品シンフォニー、オペラとオラトリオ: ベートーヴェン・シンフォニー再考 ナポ レオン戦争の影響 エロイカはなぜイタリア語 占領下におけるコンサート開催 オペラとオラトリオ 遺されたオペラは1作のみ ベートーヴェン像を解く鍵はオラトリオ創作 ミサ・ソレムニス: ルドルフ大公 作品献呈の意味 音楽史とは何か2024/07/04