内容説明
楽聖と同じ町・ボンに生まれ弟子としてその背中を追いピアニスト・作曲家として新時代を切り拓いた音楽家がいた。古典派からロマン派へあるいは宮廷から市民社会へ音楽史のターニングポイントを駆け抜けた波乱の生涯。付:年表・ジャンル別全作品リスト・アルバムガイド。
目次
1 モラトリアムの時代(楽園のゆりかご―幼少期、あるいは宮廷の終焉;師の使命、師弟の葛藤―青年期、あるいはピアニストの誕生)
2 キャリアの時代(マスケット銃かピアノか?―二十代、あるいは若き音楽家の冒険;よろこびとあきらめ―三十代、あるいはクラシック音楽の誕生)
3 セカンドキャリアの時代(帰還から再起へ―四十代、あるいはナショナリズムの台頭;楽園の再生―最後の十年、あるいは世代のはざまで)
著者等紹介
かげはら史帆[カゲハラシホ]
1982年、東京郊外生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。音楽雑誌、文芸誌、ウェブメディアにエッセイ、書評などを寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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月華
3
図書館 フェルディナント・リースの生涯を単独で一冊の本にまとめた、おそらく世界初の伝記とのこと。フェルディナント・リースが残した作品や手紙、その他のテキストは、何よりもまず彼自身の音楽人生の所産とも書かれていました。年表、全作品リスト、アルバムガイドも載っていました。2022/08/23
とっても
1
読みやすくて、一気に読了。生きている間はある分野でそれなりに成功して、だけど後世には残らない…プロとして生計を立てていてもその多くはそのようなものだと思う。後世までその業績が残るなんて、本当に本当に、稀なこと。リースは音楽家として充分に成功したといえる。天才ではなかっただけ。終章で書いてある、同世代の誰よりも生き残った音楽家のチェルニーでさえ練習曲しか知られておらず、世代特有の不運があったことにはなるほどと思った。ベートーヴェンの直弟子という血脈を断絶させたこと、これはやはり残念だったかもしれない。2022/08/02
B. S. Junkie
0
激変する歴史の波濤に弄ばれる木の葉のごとき人生であったようだ。ヨーロッパの混迷は彼の生前よりあって、現代に至るまで続いている。21世紀にようやく歴史的評価をなされる順番が巡ってきたフェルディナント・リースの旅は、今もなお続いているのかもしれない。2023/10/28
スコーンモンスター
0
リース側からの一次史料を読み込み、それを紹介しつつ、歴史上の点と点を著者独自の視点から線で結びつけようとするテクニックがすごい。こじつけではなく、リースの立場になって「〜だったかもしれない」と表現しており、史実と著者の見解を見事に分けて書かれている。2023/05/18
シオン
0
社交性というか権威ある人に気に入られる性格であるということが人生軌道に乗せる秘訣だと思った。2021/07/24